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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「どうする家康」まさか、本当にやっちまった!?第27回放送「安土城の決闘」振り返り

「どうする家康」まさか、本当にやっちまった!?第27回放送「安土城の決闘」振り返り:4ページ目

信長少年が読んでいた中国古典『韓非子』

劇中で吉法師(きっぽうし。信長少年)が何やら勉強していたシーン。中国の古典『韓非子(かんぴし)』を音読していましたね。

魯穆公使衆公子或宦於晉、或宦於荊。
犁鉏曰、假人於越而救溺子、越人雖善遊、子必不生矣。失火而取水於海、海水雖多、火必不滅矣。遠水不救近火也。
今晉與荊雖強、而齊近。魯患其不救乎。

※『韓非子』説林 上

【読み下し】魯(ろ)の穆公(ぼくこう)、衆公子(しゅうこうし)を使(し)て或(あるい)は晋(しん)に於いて宦(かん)し、或は荊(けい)に於いて宦せしむ。

犁鉏(りしょ)の曰く「越(えつ)に於いて人を假(か)り而(て)溺子(できし)を救わんとすれば、越人(えつひと)善(よ)く遊(およ)ぐと雖(いえど)も、子(こ)は必ず生き不(ざ)らん矣(や)。

火を失(しっ)し而(て)水を海に於いて取らば、海水多しと雖も、火は必ず滅(消)え不らん矣。遠水(えんすい)の近火(きんか)を救わ不(ざ)れば也(なり)。

今、晉與(と)荊の強しと雖も、而(しか)も齊(せい)は近し。魯の患(わずらい)其(それ)救われ不(ざ)らん乎(か)」と。

【意訳】魯国の君主・穆公が息子を強国である晋国か荊国に仕官させようとしていた。いざ有事に、魯国を救ってくれるのを期待してのことである。

すると家臣の犁鉏がこれを諫めて言った。

「魯国よりはるか南方の越人は、水泳に長けています。しかし目の前で溺れている我が子を救うために彼らを連れて来ようとしたら、我が子はとっくに溺死してしましょうでしょう。

また海には膨大な水がありますが、内陸部の魯国で起きた火災を消そうと海水をくみに行っていたら、火は一向に消えないでしょう。

これらの喩えと同じように、晋国も荊国も強大ながら、我が魯国からは遠すぎます。もし近くの斉国と何かあっても、魯国の救援には間に合わないでしょう」と。

……昔から「遠くの親戚より近くの他人」とはよく言ったもので、こうした帝王学をキッチリ学んでいたからこそ、近くの家康を大事にした(ちょっと甘やかし過ぎた?)のかも知れませんね。

5ページ目 「やり直し!」信長少年の隣に座っていた老臣・平手政秀

 

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