
大河『べらぼう』着実に成長する蔦重、俄かに起こる神隠し…3月23日放送の解説&堪能レビュー!
顔見知りの平沢常富(尾美としのり)が、まさか人気の青本作家・朋誠堂喜三二(ほうせいどう きさんじ)だったとは……。
大文字屋市兵衛(伊藤淳史)と若木屋与八(本宮泰風)の張り合いで大いに盛り上がる俄祭り。蔦屋重三郎(横浜流星)がここぞとばかりに売り出した『明月余情』。勝川春章(前野朋哉)が活き活きと描き出した俄祭りの光景に、吉原遊郭から足が遠のいていた小田新之助(井之脇海)もつい引き寄せられていきました。
心待ちにしていた新之助と再会したうつせみ(小野花梨)ですが、前に失敗した足抜の記憶が邪魔をして進み出せません。
そこへ背中を押したのが松の井(久保田紗友)。いつもは皮肉屋の彼女ですが、今日はちょっと違いました。「祭りに神隠しは付きものでござんす。お幸せに」と背中を押してやる粋な心意気に、多くの視聴者が胸打たれたことでしょう。
人波に流され、大門へと消えてゆく二人の背中……このまま吉原遊郭から旅立って行きたいところですが、流石にひとときの逢瀬を楽しむにとどめたものと思われます。
それではNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」今週も張り切って、堪能レビューと参りましょう!
カタブツ松平定信が『金々先生』に興味津々?「フラグが立った」との声も
白河藩に移った松平定信(寺田心)は恋川春町『金々先生栄花夢』を手に取り、その低俗さに辟易していました。
しかし吉原遊廓の符牒(業界用語、隠語)など独自の文化に興味を持つあたり、定信らしい教養人らしさがうかがわれます。
漢籍や国文学などの王道だけでなく、後には浮世絵など庶民文化にも理解を示し、時には支援した定信の一面が垣間見えました。
今回の『金々先生』で恋川春町の名前を覚えたようですが……後に恋川春町がたどる運命を考えると、素直には喜べませんね。
2ページ目 喜三二先生、蔦重と鱗形屋の板挟み&大文字屋と若木屋の競演