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大河『べらぼう』着実に成長する蔦重、俄かに起こる神隠し…3月23日放送の解説&堪能レビュー!

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喜三二先生、蔦重と鱗形屋の板挟み

『青楼美人合姿鏡』以来、蔦重のアイディアや可能性に惹きられる朋誠堂喜三二こと平沢常富。しかし鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)に家族揃って土下座までされてしまったら、流石に断り切れません。

「さらば、吉原挙げてのおもてなし……」

ここにも、利益よりも仁義を選ぶ男がいたのでした。

(個人的には、どっちも受ければいいんじゃないの?と思いますが……)

劇中でも言及していた通り、武士の副業はあまり歓迎されたものではありません。

現代で言えば、公務員が非番の時間にアルバイトをしているような感覚でしょう。

傘張りや金魚の養殖くらいなら可愛いものですが、時にお上への風刺・批判につながりかねない文学活動には、当局も監視の目を光らせていたようです。

そこまで怖いなら青本なんて書かなければ……と言われてしまいそうですが、それでも書かずにはいられないのが物書きというもの。

喜三二先生も後に主君から叱られてしまうのですが、それでも完全に筆を折ることは出来ませんでした。

大文字屋と若木屋の競演

初めは若木屋の俄祭り企画を潰そうときていた大文字屋ですが、喜三二先生のアドバイスを受けて「張り合うことで祭りを盛り上げ、吉原遊廓の活性化につなげる」方針に舵を切り替えます。

さすがは忘八、表向きはともかく利益になると分かれば、動きの速さが身上です。

何度も対立を繰り返し、いざ本番でも互いに雀踊りの応酬を繰り広げました。

見事な仕草や滑稽な意地の張り合い……様々な趣向を凝らして闘い続け、最後はもうやることがなくなって、互いの踊りを交換します。

これまで晴れの日30日間、熱演を繰り広げた相手にリスペクトを示すことで、両者の和解を巧みに表現しました。

歌舞伎や獅子舞、締めくくりはみんな揃って花笠踊り……人と我との隔てなき俄祭り。ひと月限りの憂さ晴らしを、皆さん大いに堪能したことでしょう。

3ページ目 喜三二先生の書いた『明月余情』序文を紹介

 

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