
なぜ誕生し、なぜ廃止に…?かつて東京・上野に存在した幻の「博物館動物園駅」とは?
みなさんは、電車がお好きですか?電車が大好きだという方、電車に乗って旅をするのが好きだという方など、さまざまだと思います。
そこで、今回の記事では、上野の幻の「博物館動物園駅」について焦点をあててご紹介していきたいと思います。いつどのように誕生し、なぜ「幻」と言われるのか、歴史をたどっていきましょう。
「博物館動物園駅」とは?
博物館動物園駅とは、かつて東京・台東区上野公園にあった駅です。京成電鉄本線の駅でしたが、今は廃駅となっており、使われていません。日暮里駅~上野公園駅(現・京成上野駅)の中間に位置していました。
京成上野駅から、上野公園を抜けて10分ほど歩きます。東京国立博物館から東京藝術大学に向かう途中に、小さな建物が見えます。それが、旧博物館動物園駅です。
駅舎の見た目は、まるで小さな国会議事堂の正面ファサードのよう。歴史を感じさせる荘厳な外観です。鉄道関係者からは、愛をこめて「ハクドウ駅」とも呼ばれているとか。
「博物館動物園駅」はなぜ生まれた?
博物館動物園駅が開業したのは、1933年(昭和8年)12月のことでした。京成は当時、成田と日暮里を結んでいたのですが、その路線が都心に乗り入れるため、上野まで延伸されました。その過程で、東京帝室博物館・東京科學博物館・恩賜上野動物園や東京音樂學校、東京美術學校・旧制第二東京市立中学校などの最寄り駅として博物館動物園駅が誕生しました。
ちなみに、「博物館動物園駅」の「博物館」は今の東京国立博物館、「動物園」は恩賜上野動物園のことをそれぞれ指しています。
駅舎が荘厳な見た目である理由
今でもファンの多い旧博物館動物園駅の駅舎。これにも理由がありました。旧博物館動物園駅が建設される予定だった場所は、皇室で代々引き継がれてきた「世伝御料地」という特別な土地だったのです。そのため、すぐに工事が開始されるわけではなく、まずは御前会議にかけられました。
その際、「世伝御料地内に建設するため品位に欠けるものであってはならない」と言われたそうです。そのため、品位のある、西洋風の荘厳な建築となったのです。