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大河『べらぼう』切なすぎる…瀬川(小芝風花)と鳥山検校(市原隼人)惚れた相手のため身を引く二人の愛【後編】

大河『べらぼう』切なすぎる…瀬川(小芝風花)と鳥山検校(市原隼人)惚れた相手のため身を引く二人の愛【後編】

本気で自分の気持ちをぶつけた瀬川(小芝風花)と、やっと心が通う予感がした鳥山検校(市原隼人)。夫婦の距離も縮まるのではと思った矢先、検校は捕縛されてしまいます。

瀬川は妓楼・松葉屋の寮に預かりの身になり、蔦重(横浜流星)に「離縁したら一緒になろう。『瀬川による瀬川の本』を作ろう」とプロポーズされました。けれども、高利貸し・検校の妻である自分を恨む人間もいるということに気が付きます。

【前編】では、瀬川と蔦重がようやく結ばれそうになったものの、暗雲が立ち込めたところまでご紹介しました。

大河『べらぼう』二度目の「おさらばえ」…瀬川(小芝風花)と鳥山検校(市原隼人)惚れた相手のため身を引く二人の愛【前編】

「おさらばえ」……。まさかの二度目となった、涙ながらの瀬川(小芝風花)の独白。大河ドラマ「べらぼう」の第14回「蔦重瀬川夫婦道中」のラストで、瀬川は吉原と蔦屋重三郎(横浜流星)に、別れ…

【後編】では、蔦重が自分の「光」だった瀬川、そんな瀬川が自分の「光」だった検校、それぞれ愛する人のため、自分は身を引く……そんな切ない決断をした二人の真意を考察してみます。

大切な人が「光」を失わないため…検校の決断

ドラマ14回「蔦重瀬川夫婦道中」で、鳥山検校は瀬川に離縁を申し出で「そなたの望むことは全て叶えようと決めたのは自分だから」と言います。

いっとき、瀬川の態度(花魁が客に対するような距離のある態度)に寂しさや不満が募り、感情を爆発させたものの、瀬川の「重三は、わっちにとって光でありんした。」という本音の激白に心揺り動かされますます愛情が深まったようです。

瀬川にとって蔦重の存在が唯一の「光」だったように、検校にとっても瀬川はやっと出会った「光」。そんな彼女を、苛烈な自分の人生に留めおくことはできなかったのでしょう。

大切な「光」が消えぬよう、自ら手放して去っていく。“粋”な決断でした。

検校に、「自分は幸せな妻だった」という瀬川。その「幸せ」は、高価な着物を与えたりなど物理的に尽くしてくれたということではありません。

吉原に客足が戻り肉体的な負担が増え疲弊していた瀬川を、身請けという形で救い出してくれたことに対する感謝もあったでしょう。そして、蔦重への想いを知りながらも自分だけを愛し見守ってくれたことに対する感謝も。

「自分は幸せな妻だった」と涙をこらえながら頭を下げる瀬川の声に、虚飾はありません。本心を感じ検校は口元に笑みを浮かべるのでした。

そんな粋で男っぷりのいい検校を見ると、瀬川を喜ばせたい一心でたくさんの本を取り寄せ書庫に並べたとき、「これで退屈しないで済みます」ではなく「また、私が本を読みますから二人で物語を楽しみましょう」と瀬川に言って欲しかったなと、しみじみ思ってしまいました。

先週、SNSでは検校の突然の激昂ぶりに、驚いたり・怖がったりなどの声もありましたが、今までの検校の表情をみていたら、そんなはずはありません。

案の定、今回のストーリーで一気に流れは変わり、「鳥山検校のおとこ気にも泣かされた」「鳥山様は最後までかっこよかった」など、検校の男前ぶりに魅せられた人も多かったようです。

2ページ目 検校に「オペラ座の怪人」を感じる人も…

 

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