大河『べらぼう』切なすぎる…瀬川(小芝風花)と鳥山検校(市原隼人)惚れた相手のため身を引く二人の愛【後編】:5ページ目
キラキラした「光」のかけらを胸に
幸せそうな夜を過ごした直後だっただけに、あまりにも辛い身の引き方ではありますが、初めて蔦重の腕に抱きしめられたこと、「大切にする」と言われたこと、二人でどんな本を作るか語り合ったこと……そんなキラキラした思い出は、生涯、瀬川の胸のなかで「光」として輝き続けることでしょう。
瀬川のその後については、はっきりとした記録などはないようです。
元なじみ客の武士と結婚して2人の男子を設けるも夫と死別、その後武家の家に出入りしていた大工と再婚する……
という説もあります。
蔦重自身も別の女性と結婚するのですが、子供のときから、本という存在を通し悲喜交々を経験し、苦難を乗り越えてきた二人。お互いが唯一無二の存在であることは、誰にも消せません。
蔦重には、これから、彗星の如く現れ、令和の現代でもされるさまざまな芸術家との出会いが待っています。
果たして、平賀源内(安田顕)の「本屋ってなぁ随分と人にツキを与えられる商いだ」という言葉通りに、江戸の人々に「光」を与える本作りに邁進できるのか、見守って行きたいものです。