日本最古、世界で二番目に古い紙幣は伊勢が発祥だった?その紙幣の名は「山田羽書」:2ページ目
伊勢山田羽書は1610年頃、御師と呼ばれる旅行代理業を受け持つ神職たちや、商人たちが集まって作った組織「山田三方」によって発行され、明治時代まで約250年間に渡り流通し、伊勢一帯で使用できるものでした。
当時、関西では主に丁銀と呼ばれる銀貨が流通していましたが、それは嵩ばる上に重く不便。そこで、商人たちが金額を紙に書いて預かり手形とする「山田羽書」が生まれたということです。
この羽書に両替することで神宮参拝時の宿泊や飲食代、土産物の購入や遊郭での遊びなどなど、様々な支払いが行えました。重たい貨幣をジャラジャラと持たずにスマートに観光できたのですね。
流通すると不安なのが偽造。組合は偽造防止のために7年ごとに図柄を変更、版木を多用し図柄も細かく多色刷りに。そして少なくとも10以上の印が押されていたようです。
羽書のシステムは地域外でも流用され、全国で流通する商人札や藩が独自に発行する紙幣「藩札」の起源ともなりました。
ちなみに世界で一番古い紙幣は中国の「交子」というもので、北宋時代(960~1127年)のもの。