
【大河べらぼう】費用は一回1,500万円!?吉原遊廓の名物「仲之町の夜桜」はどのように準備されたのか
天下御免の色里・吉原遊廓。高い塀とお歯黒溝に囲まれた中にはピンからキリまで遊女3,000人を含む10,000人がひしめいていたと言います。
唯一の出入口である大門を潜ればそこはもう別世界。浮世の煩いを忘れ楽しむ様々の趣向が凝らされていました。
春になれば花見を楽しみ、秋には名月に盃を傾け……という具合で、今回は吉原遊廓の花見について紹介したいと思います。
1シーズンで総とっかえ!実に豪気な吉原遊廓の花見
吉原遊廓では旧暦3月3日から3月30日(※旧暦は各月30日まで)にかけて、メインストリートである仲之町で花見のイベントが催されました。
3月3日が近づくと、開花直前の桜をあちこちから調達して植え付けるのです。
こう聞くと「一度植えれば、翌年からそのままにしておけばいいんじゃないの?」という声も聞こえてくるでしょう。
実は仲之町の桜は、必ず毎年植え替えます。なぜってそりゃあなた……花の時期以外は見栄えがしないからです。
青葉の時期には毛虫がびっしり、秋から冬にかけては落ち葉が夥しいったらありゃしません。
だから花の時期だけ持ってきて、イベントが終わったら、何処へともなくやってしまうという塩梅。ね、合理的でしょう?
なぁるほど……って、そんな訳あるかい。毎年いちいち桜並木を植え替えていたら、どんだけお金がかかるんですか。
えーと。明治時代の資料『江戸町方の制度』によりますと、桜の植え付け&植え替えは高田の長兵衛(ちょうべゑ)さんが請け負っていたと言います。
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