手洗いをしっかりしよう!Japaaan

大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「どうする家康」武田勝頼、見事なり…え?第22回放送「設楽原の戦い」振り返り

「どうする家康」武田勝頼、見事なり…え?第22回放送「設楽原の戦い」振り返り:3ページ目

三段撃ちはもう古い?劇中で描写された「先着順自由連射」

長篠・設楽原の戦いといえば、武田の騎馬軍団を柵で食い止め、その向こうから火縄銃で狙い撃ちする描写が有名です。

それまで火縄銃と言えば、一発撃てば次の弾を装填するまでに30〜秒の時間がかかり、騎兵の機動力に勝てないというのが通説でした。

そこで編み出された三段撃ち。三人一組で(1)装填(2)構え(3)撃てをローテーションすることで、火縄銃の連射が可能になると言うのです。

しかし実際に検証してみたところ、装填の遅い者がいると、そこでつかえてしまいます。

これを解消するべく、近年の研究では三段撃ちに代わって先着順自由連射という戦術が考察されました。

先着順自由連射では、あらかじめ射撃列だけ決めておき、装填できた者から列に入って撃ったら後退して装填……を各自で繰り返します。

こうすると三段撃ちに比べて射撃間隔を大幅に短縮できました。

しかしこの方法では各人が不規則に動くため、ぶつかって怪我をしたり銃が暴発したり、等のリスクが考えられます。

そもそも、この戦術が実際に採用されたことを裏づける史料も確認できていないため、今後の究明がまたれます。

いずれにしても、勝利のためには平素からの演練が欠かせないことは、今も昔も(そしていかなる戦術を用いようと)変わりませんね。

織田家中の将兵らが、この日に備えて厳しい訓練を耐え抜いたことを、大いに賞賛してあげて欲しいと思います。

4ページ目 山県昌景の最期

 

RELATED 関連する記事