江戸時代には専用の指南書あり。古代人も愛用した女性用”大人のおもちゃ”の歴史:2ページ目
張形の需要
奈良時代の僧侶であった道鏡(どうきょう)は、孝謙天皇の寵愛を受け法王にまで出世した。二人の間には男女関係があったという通説があり、当時を記述した資料の中には道鏡が張形を勧めたとされる記載や、孝謙天皇が張形を使用していたとする件が登場する。
江戸時代には大奥に使える女中の間で張形が流行った。当時の流行絵師である「歌川豊国(うたがわとよくに)や「菱川師宣(ひしかわもろのぶ)」が描いた作品には、張形を求める女中や行為に励む女性を描いた春画などが多く現存している。
また、江戸時代には張形の指南書も存在した。
浮世絵師「月岡 雪鼎(つきおか せってい)」の著書である「艶道日夜女宝記(びどうにちやにょほうき)」は、医学書を元にした春本であり、張形の具体的な使用方法が説明されているだけでなく、女性が張形を利用して自慰を行う術が図解されている。
単純に手で持って使用するほか、様々な姿勢で使用する様子や、足首に結び付けたり春画を見ながら気分を高めたりと、具体的な使用方法を豊富に紹介した著作であった。
江戸時代の張形は高級品
張形は女性向けの装飾品などを扱う店で購入できたほか、四目屋(よつめや)と呼ばれる現在のアダルトショップに該当する店でも手に入った。
しかし、当時の張形は高級品であり一般庶民が容易に購入することはできなかったという。それでも需要は高く、経済的に手に入れることができない女性たちの間では、野菜などで代用する方法が広まったとか・・・。
江戸時代の恋愛や不倫、同性愛、ラブグッズ事情など…教科書では教えてくれなかったこと
参考:日文研究蔵 近世艶本資料集成