
大河ドラマ『べらぼう』のサブタイトル「蔦重栄華乃夢噺」の”乃”は”之”じゃダメ?それぞれのニュアンスを考察
NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」皆さんも楽しんでいますか?
もうすぐ1/3が終わりますが、もしまだ見てない方は、一度は見てみるのがおすすめです。
本作の主人公・蔦重こと蔦屋重三郎(横浜流星)の努力や活躍は、見ていて応援したくなるでしょう。
さて。本作のサブタイトル「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」、この「乃」が気になった方はいらっしゃいますか?
「そんな細けぇこと気にすんのはおめぇだけだ、このべらぼうめ!」なんて声も聞こえて来そうですが、気になったのだから仕方ありません。
この「乃(の)」という漢字は、よく「之(の)」という漢字と使い分けられます。それぞれどんな違いがあるのでしょうか。
という訳で今回は、漢字の「乃」と「之」の違いを紹介。大河べらぼうのサブタイトルに込められた思いを考察したいと思います。
蔦重栄華「乃」夢噺とは
乃という漢字は、音読みでダイ・ナイ。訓読みで「すなわち」「なんじ」「の」と読みます。
【読み方の例】
- ダイ:乃父(だいふ)なんじの父。父親が子供に対する一人称。
- ナイ:乃至(ないし)数量などの範囲を示す言葉。
- すなわち:イコール。たちまち。既に。
- なんじ:相手に対する二人称。
- ~の:前後の単語をつなぐ言葉。
意味合いを知りたい時は、訓読みにフォーカスすると分かりやすいでしょう。
つまり蔦重栄華「乃」夢噺とは、このような意味と考えられます。
①蔦重の栄華とは、すなわち夢話(噺)である。
②蔦重の栄華とは、あなたの夢話である。
ここから転じて、もう少し自然なニュアンスに噛み砕いてみましょう。
①蔦重の栄華はまさに夢のように儚い物語であった。
②蔦重の栄華はあなたが夢見る物語であった。
この「あなた」とは様々なニュアンスに解釈できますが、恐らくは蔦重の初恋相手である瀬以(小芝風花。元あざみ→花の井→五代目瀬川)と考えられます。
かつて二人で夢見た物語は、どのような結末が描かれるのでしょうか。
ちなみに片仮名の「ノ」は乃の1画目、平仮名の「の」も「乃」に由来しています。1画目を左に払い下ろした後に、筆を離さずぐるっと書いたのでした。