
江戸時代の絵画を「愛」と「平和」をテーマに紹介する特別展「愛と平和の江戸絵画」が岡田美術館で開催
神奈川県の岡田美術館で、特別展「愛と平和の江戸絵画」が開催されます。

江戸時代は、徳川家康が幕府を開いた1603年(慶長8)から終焉を迎える1867年(慶応3)まで、約260年もの長きにわたり平和の続いた、世界史的にも稀有な時代でした。安定した政情のもと経済が繫栄し、多様な文化が育まれ、美術においては幅広いジャンルと表現が誕生した、画期的で魅力あふれる時代に位置付けられます。
本展では、「愛」と「平和」という2つのテーマから江戸時代の絵画が紹介されます。泰平の世を謳歌する人々や、穏やかな日常を描いた風俗画、親しみをこめて描かれたいきものたち、家族や恋人など愛する人への想いが伝わる作品の数々を展示。
展示作品の中には、長年行方が分からず、モノクロ図版でしか知られてこなかった伊藤若冲「孔雀鳳凰図」(2016年に再発見)も。
平和が生んだ絵画さまざま
名所・遊楽から、日常を豊かにする琳派、旅を描いた浮世絵まで

平和の世の到来と、それを謳歌する気分は、絵画の中にも見て取ることができます。各地の名所や邸内を舞台に、現世を楽しむ享楽的な男女の姿を描いた風俗画が数多く制作され、やがて浮世絵の誕生へと繋がりました。
町衆(裕福な町人たち)や公家が支持した京都の俵屋宗達、尾形光琳、そして江戸の酒井抱一らに継承された琳派の様式は、都市の洗練された美意識を伝えます。
幕府によって整備された街道や宿場の発展は、経済的な効果をもたらすのみならず、多彩な文学や絵画作品を生むこととなりました。
いきものに向けたまなざし
虫や魚、犬や猿など、生命を描いた愛おしい作品を紹介

華やかな花鳥から、小さな虫や魚まで、日本では様々ないきものが親しみを込めて描かれてきました。江戸時代には徹底した観察に基づく写実的な作品が多く残されたり、かわいらしい子犬の絵が人気を集めたりとたくさんの例が確認できます。
このコーナーでは、いきものに向けられた画家のまなざしを紹介します。
いろいろな愛のカタチを発見
家族に恋人、あこがれの人…… 愛する人への想いを読み解く

遊女や贔屓の役者など美しい男女を描いた美人画に限らず、江戸時代には愛する人の存在を直接的、あるいは間接的に描いた作品が数多く制作されました。
このコーナーでは、武家の嫁入り道具として用意された立派な屏風絵から、雛祭りなど子どもの成長を願って発注された絵画、馴染みの遊女を描いた作品までを展示し、幅広い愛のカタチを探ります。
特別展「愛と平和の江戸絵画」は2025年6月8日(日)~ 12月7日(日)の期間、岡田美術館で開催されます。