元々は季節の分かれ目ごとにあった「節分」なぜ2月3日を表す言葉になったのか?:3ページ目
豆には「魔滅」の力が?
日本の食生活の多くは、豆・大豆といったものに頼っています。醤油、味噌、納豆、豆腐など、私たちの食事には、大豆から作られるものが実にたくさんあります。大豆なくしては、日本人の食卓は成り立たないといっても過言ではないでしょう。
大豆は、米をはじめとして、麦、あわ、ひえとともに「五穀」と呼ばれ、大切にされてきました。農作物が豊かに実ることを「五穀豊穣」といいますが、大豆はその象徴です。そのため、大豆には古くから神聖な力があると信じられてきたのです。
また、豆には、「魔滅」という字があてられることもありました。
「魔を滅する力」=「鬼を退治する力」
があると信じられ、人々が節分に豆をまくようになったのです。
豆をまいて、恐ろしい鬼(災いや病気)に対抗するのです。こうして、今の節分の原型が出来上がりました。時代が下るにつれ、鬼にも、苦手なものが増えていきました。それが、「焼いたイワシの臭い」と「ヒイラギの葉の棘」です。
節分でたまに見かける「鰯と柊の飾り」実は鬼を撃退する為のダブルトラップだった!
つい先ほど年が明けたと思ったら、早いもので1月も下旬。コンビニエンスストアに「恵方巻」の広告が出てくると、節分の訪れを感じる今日この頃。節分と言えば、鬼を追い祓う豆まきや、最近では「恵方巻」が…
この二つをコンボにした「柊鰯」。これを節分の日に魔除けとして玄関に飾るしきたりもあります。節分は単に豆をまいて楽しむだけのものではありません。「鬼」が近づかないよう生活を見直し、新しい季節に向かって心も体もケアする一日とするのも、良いかもしれません。
参考
- すとうあさえ監修『子どもに伝える行事の由来と行事食』(メイトブックス 2016)
- 大塚 滋 『食の文化史 』(中公新書 1975)
- 橋本直樹『食卓の日本史 和食文化の伝統と革新』(勉誠出版 2015)