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ヒガンバナの異名、多すぎ?その数1,000を超える「ヒガンバナ」の異名を紹介!:3ページ目
【嫁簪/よめのかんざし】
※分布:和歌山県、埼玉県など
先ほど登場した「狐のかんざし」のファンタジックなムードとは打って変わって、こちらは嫁さんの「リーサルウェポン(暗殺武器)」的な意味を感じてしまいます。
世の大奥様がた、本当に嫁さんは大事にした方が良さそうです。
【雷様花/らいさまばな】
※分布:茨城県など
雷様(らいさま)とは文字通り「かみなりさま」のことで、「地震雷火事親父」と言われる通り、激しい地域では昔から恐れられてきました。
ヒガンバナとの直接的な因果関係は不明ですが、又の別名「夕立花(ゆうだちばな)」と何かつながりがありそうです。
【忘花/わすればな】
※分布:長野県、群馬県、静岡県など
何を忘れてしまうのか定かではありませんが、ま行に「道忘花(みちわすればな)」、「道迷草(みちまよいぐさ)」等の異名が多くあることから、もしかしたらこの世から迷い出てしまい、帰り道を忘れて=そのまま死んでしまうことを暗喩しているのかも知れません。
【馬背花/んまぜばな】
※分布:茨城県など
わ行で終わりかと思いきや、東北弁?でまさかの「ん行」がありました。
放射状の花弁が馬の背=たてがみのようだから、とか、又は馬も背を向ける=毒だから食べない、などと言われています。
他の別名にも「牛舌曲(うしのしたまがり)」「蛇舌曲(へびのしたまがり)」などがあり、その毒性が如実に表わされています。
【その他・番外編】
外国でもヒガンバナに独自の名前がつけられており、英語圏では「Magic Lilly(魔法の百合)」「Red Spider Lilly(赤蜘蛛の百合)」、お隣のチャイナだと「銀鎖匙(銀のカギ)」なんてファンタジックなものから「鬼蒜」「避蛇生(蛇も食わない植物)」といった毒性を示すもの、学名は「Lycoris radiata Herb」と、その放射形の花弁を示すなど、世界各地で強烈な印象を与えていることを実感します。
【終わりに】
これまで紹介してきたヒガンバナの異名は、1,000を超える内のごく一部に過ぎませんが、その毒性と美しい外観のギャップが、無数のエピソードを生み出し、伝承されてきたことが察せられます。
それにしても、嫁・姑のドロドロ関係に由来する異名が多いことに驚きでした。美しいばかりでなく、身近な猛毒植物の代表格としても知られるヒガンバナ。
この季節、みんなで仲良く鑑賞したいですね。
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