仏像の見分け方など、仏像鑑賞の基本の「き」
如来も菩薩も明王も「お釈迦様」
根強い仏像ブーム。昨年の運慶展は大盛況でしたね。静謐な面差しをたたえる仏像、筋骨隆々の四天王など、見ていて飽きません。ですが仏像の見分け方、案外わかっている方は少ないのではないでしょうか?
実は如来も菩薩も明王も、元をたどれば「お釈迦様」なんです。宗派によって解釈が微妙に異なりますが、ここでは一般的な定義をご案内します。
仏教はゴータマ・シッダールタが開祖の宗教。そのシッダールタのことを通常「お釈迦様」と呼びます(釈迦はシッダールタの一族の名前、シャーキャ族にちなみます)。ちなみに仏陀は「目覚めた人」という意味で、釈迦の尊称です。
- 「如来」は釈迦が悟りを開いた状態。仏教界の最高位に位置します。
- 「菩薩」は釈迦が悟っていない状態。生き物への慈悲が深すぎて悟りに至れないとも。
- 「明王」は如来の変化身。教えに従わない者に厳しい態度で導く存在。忿怒相(ふんぬそう)という怒りの表情をしています。
そして人間の煩悩が多いせいなのか、役割が更に細分化されていきます。例えば如来には釈迦如来・阿弥陀如来・薬師如来・大日如来などがあります。
- 釈迦如来は悟りを開いた釈迦そのもの。
- 阿弥陀如来は死んだ後の魂を迎えに来てくれる如来。
- 薬師如来は病気に苦しむ者を救済してくれる如来。
- 大日如来は密教において宇宙そのものを表す如来。
文殊菩薩は知恵を司る菩薩、千手観音菩薩は全世界から衆生を救ってくれる菩薩。愛染明王は愛欲を認め、その煩悩を悟りのエネルギーにしてくれる明王。という具合に、多種多様な仏が生まれました。
ちなみに「~天」とつく仏は天部衆と言って、ヒンドゥー教から仏法を守護する存在として取り込まれました。毘沙門天・弁財天などが有名ですね。