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繰り返す、この温泉マーク。さかさくらげとテクノの「癒し」と「暗く妖しい快楽」

繰り返す、この温泉マーク。さかさくらげとテクノの「癒し」と「暗く妖しい快楽」

Perfumeの「グローバルコンピレーションアルバム」という『LOVE THE WORLD』のCMを見たら、冒頭で温泉マークが出てきました。

これを見て「ああ、テクノだなあ」と思った方が多いのか少ないのかはわかりませんが、とにかく音楽で温泉マークといえば、テクノであります。いや、もうちょっと限定すれば、YMOであります。

YMO。イエロー・マジック・オーケストラ。バンドについての説明は必要ないと思うので、説明しません。彼らが温泉マークをアイコンとして導入したのは、アルバム『BGM』のジャケットに於いてでした。ゆらめく三本の線が隣り合うビジュアルに、3人のインディヴィジュアルなミュージシャンによる緩い結束の様を見出したのかといえばそういうわけではなく、単に温泉に漬かりたい気分だったから採用したんだそうです。ワールドツアーで疲れ果て、ひたすら温泉に入ってゆっくりしたいという一心で、温泉マークを採用したんだそうです。ゆっくりしたい割にはその『BGM』は異様な気合に満ちた内容のアルバムですが、それはともかく。

http://www.youtube.com/watch?v=b1efp2SrnQo

国産ポピュラーミュージックの中にあって、世界的なアピール力を持つ数少ないジャンルである、テクノ。そして、ワールドツアーで疲れたYMOと、世界仕様で編集されたベスト盤を出すPerfumeが取り入れた、温泉マーク。となれば、温泉マークもまた世界に向けてのアピール力を持ってるんじゃないかと思いたくなりますが、これが案外そうでもないようです。温泉の地図表記あるいはアイコンみたいなものは、各国によってバラバラ。もちろん、パッと見で「湯」と理解可能な温泉マークを使用してる国もありますが、お隣の韓国みたいに公衆浴場から旅館まで温泉マークで表したりと、使い方は異なります。

かくいう日本においても、温泉マークは時代の変遷と共に使われ方は変わりました。昭和の中頃までは日本でも旅館などを温泉マークで表していたそうです。「連れ込み旅館」という、ラブホテルやファッションホテルなどと「用途」は同じながら風情は全く異なるスポットでは、この温泉マークが「さかさくらげ」として密かな認知度を誇っていたといいます。

YMOの『BGM』がリリースされたのは、1981年。昭和でいうと、56年。旅館への温泉マークは既に禁止されてたそうですが、まだ「さかさくらげ」の淫靡なイメージは充分に残っていたかもしれません。湯けむりが連想される癒しの世界と、暗く妖しい快楽の世界。それは正に、「ライディーン」などのポップさを切り捨ててダークモードで暴走した『BGM』の音世界が醸し出すものでもあります。

では、温泉マークと共に現れたPerfumeのベスト盤もまた「癒し」と「暗く妖しい快楽」が渦巻くものかと言えばそれは不明ですが。またこれから先、今までのポップさを切り捨てて『BGM』みたいな超コアなアルバムをぶっ放すかどうかも、不明であります。

温泉マーク – Wikipedia

Perfume Global Compilation “LOVE THE WORLD” – Perfume公式

BGM (YMOのアルバム) – Wikipedia

 

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