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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「どうする家康」殿は、きっと大丈夫。信玄は既に……?第18回放送「真・三方ヶ原合戦」振り返り

「どうする家康」殿は、きっと大丈夫。信玄は既に……?第18回放送「真・三方ヶ原合戦」振り返り

夏目吉信から広次へ改名した理由

夏目広次は、実はもともと夏目吉信(よしのぶ)という名前でした。

それが失態を恥じて、生まれ変わったつもりで名前を変えたために、家康からなかなか名前を覚えてもらえなかった……という18話ごしの伏線を回収。

……とのことですが、実際のところはどうなのでしょうか。

まず、竹千代(演:川口和空)が人質に出された時、夏目吉信は同行していません。

【同行メンバー】

一、石川数正(演:松重豊。与七郎)
一、天野康景(あまの やすかげ。三之助)
一、上田元次(うえだ もとつぐ。万五郎、入道慶宗)
一、金田正房(かねだ まさふさ。与三右衛門)
一、松平忠正(まつだいら ただまさ。与市)
一、平岩親吉(演:岡部大)
一、榊原忠正(さかきばら ただまさ。平七郎)
一、江原利全(えはら としまさ。孫三郎)
一、阿部徳千代(あべ とくちよ。後の阿部伊代守正勝)

※『東照宮御実紀(徳川実紀)』巻一 天文十六年「戸田康光奪竹千代送于尾張」より

など28名+雑兵50名。彼らは竹千代と共に織田信秀(演:藤岡弘、)の元へ送られ、松平広忠(演:飯田基祐)の元へは戻っていません。どこへ送られようと、竹千代を守ることこそ第一の使命だからです。

「すいません、奪われちゃいました」では、それこそ「腹を召して(※召して、は尊敬語なので自分が切る時に言うのは不適切)」も償えません。

また、竹千代を奪われたことを悔やんでいるなら、どうして三河一向一揆で裏切ってしまったのでしょうか(こちらは『徳川実紀』にも記述があります)。その辺りも矛盾が感じられてしまいます。

そもそもの話をすれば、当時の人々は諱(いみな。忌み名、実名)ではなく通称で呼び合うのが普通でした(例えば酒井忠次なら、たとえ目上の者でも忠次ではなく左衛門尉と呼ぶのが礼儀)。

なので夏目「吉信」だろうが「広次」だろうが、呼ぶ時は通称の次郎左衛門(じろうざゑもん)なので、間違えようがありません(この辺りをもうちょっと詰めて欲しかったですね)。

3ページ目 「殿は、きっと大丈夫」夏目吉信の最期

 

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