「鎌倉殿の13人」小四郎、武衛、ブエイ… 上総介広常ロス続出中の第15回「足固めの儀式」振り返り:4ページ目
そもそも今回の謀叛について
今さら史実では云々などと野暮は言いますまい。
ただ、全体的に千葉介常胤(演:岡本信人)と岡崎義実(演:たかお鷹)を除いてみんなやる気が感じられないのはどういうことでしょうか。
前回、心ならずも渋々加勢した三浦義澄(演:佐藤B作)と三浦義村や、密偵として乗り込んだ梶原景時、その場しのぎで味方するふりをした比企能員(演:佐藤二朗)はともかく……。
腰が痛いと「鹿狩り(決起)」を抜ける土肥実平(演:阿南健治)。「初めからそんなに乗り気じゃなかったんだ」と言ってしまう和田義盛(演:横田栄司)。義盛の反発を利用して事態の収拾に一芝居打つ畠山重忠(演:中川大志)。
「だったら最初から爺様がたを説得して、素直に鎌倉殿へ思いを告げればよかったじゃないか」
これではまるで最初から「許されること」を前提に演じた茶番劇のようです。それこそみんなで示し合わせて、広常を粛清するためだけに。
ひとたび抜けば、相手を斬る(少なくとも追い払う)までは納めないのが刀であるように、ひとたび兵を起こせば相手を滅ぼすか、自分が滅びるかが基本です。
義時「鎌倉殿は、兵を引けば全て許すと仰せられました」
頼朝が「許す」と言ったから、それで「あーよかった」と安心してノコノコ御所へ出向くようでは、命がいくつあっても足りません。やはり示し合わせていたのでしょうか。
(謀議ですら極刑の可能性があるのに、実際に兵を挙げておきながら、許されるという発想が甘すぎるように感じます。まして相手はあの頼朝、このまま済ませるとは思えません)
常胤「無念じゃ……全てわしが考えたこと。わし一人の首で収める」
そう言って自刃を図った場面さえも、広常を欺くための芝居だった……とは流石に思えませんが、そんな軽さが否めないのは、こうした思いによるものです。
劇中では「突っ走り気味の爺さん」と描かれているように感じる常胤、そして「ちょっとお歳を召されている爺さん(大丈夫か?)」と描かれているように感じる義実(あくまでも主観です)。
史実の彼らがどれほど活躍し、頼朝からどのように扱われていたのか。その辺りは是非とも改めて紹介したい、知って頂きたいと思います。
5ページ目 「己の道を行けばいい」頼朝の背中を押す広常、別れの盃