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「鎌倉殿の13人」小四郎、武衛、ブエイ… 上総介広常ロス続出中の第15回「足固めの儀式」振り返り

「鎌倉殿の13人」小四郎、武衛、ブエイ… 上総介広常ロス続出中の第15回「足固めの儀式」振り返り

「己の道を行けばいい」頼朝の背中を押す広常、別れの盃

広常「お前は自分勝手な男だ。だが、それがお前だ。頭の中には、おやじの敵をとることしかねぇ。だろ?それでいいんだよ。御家人なんざ、使い捨ての駒だ。この乱世に坂東に閉じこもるなんざ臆病者のすることだ。お前さんは、己の道を行けばいい。法皇様だって目じゃねぇや」

頼朝「……相分かった」

広常「御家人どもが騒ぎだしたら、俺がまた何とかするよ」

頼朝「上総介。そなたがいるから、今のわしがおる。これからも頼むぞ」

……頼朝の曰く、これが別れの挨拶なんですと。まぁそれはともかく。個人的には

「乱世に坂東に閉じこもるなんざ臆病者のすることだ。お前さんは、己の道を行けばいい」

このセリフを広常に言わせたことが、ジンと来ます。

「なんじょう朝家の事をのみ見苦しく思うぞ、ただ坂東にかくてあらんに、誰かは引働かさん」

※『愚管抄』巻六より

朝廷なんかどうでもいいじゃねぇか。俺と一緒に坂東で楽しく暮らそうぜ……史実ではそんな思いを持っていた広常が、

「お前の自分勝手さも含めて、俺はお前が好きなんだ。いいよ。お前が突き進む『己の道』をどこまでもついてってやるよ。お前は俺の『武衛』だからよ」

と背中を押したのです。

その広常を粛清してしまった頼朝には、もう『武衛』はいません。いるのは義時をはじめとする「恐怖と己が野心のために従う」無数の御家人ばかり。

さぁ、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」はこれからが面白くなって来ます。もっとたくさん人が殺され、多くの血が流れることでしょう。

一人また一人と裏切り裏切られ、死んでいく。古言に「鎌倉に血の味を知らぬ土はない」と伝えられたおどろおどろしさを、三谷幸喜はいかんなく描きあげてくれることを期待しています。

終わりに

義高「万寿様は私がお守りいたします!……主に刃を向ける者を許すわけにはいかぬ!」

和田・畠山の軍勢を前に怯むことなく抜刀した冠者殿こと源義高(演:市川染五郎)。今週も凛々しくカッコよかったですね。

これは大姫(演:落井実結子)が惚れ直してしまうのも当然ですが、その末路の悲しみを倍増させる伏線となっています。

他にも祈祷の最中、危険を感じて難を逃れた阿野全成(演:新納慎也)や、斬りかかって来た兵を返り討ちにして「意外にできる(談・実衣)」と見直された源範頼(演:迫田孝也)など、見どころ充分な「神回」だったのではないでしょうか。

次週放送の第16回、そのサブタイトルは「伝説の幕開け」。見ると北条時政(演:坂東彌十郎)が鎌倉に復帰し、中央では義経と義仲がついに激突。その勢いで平家討伐に乗り出すようです。

梶原景時が何か言っていたので、恐らくは義経と対立するシーン……という事は、屋島の戦い辺りまでは一気に演ってしまうのでしょうか。

鎌倉に憂いがなくなった頼朝武士団の大暴れ、これからも目が離せませんね!

※参考文献:

  • 『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 前編』NHK出版、2022年1月
  • 『NHK2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人 完全読本』産経新聞出版、2022年1月
 

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