その昔「衣替え」は実は厄払いだった。季節の習慣の背後にある日本の”ケガレ思想”:3ページ目
そしてもうひとつの「人形流し」も、この、ケガレや厄を別のものに染み込ませるという考え方が基本にあります。
人形流しには、人の形をした紙を使います。この人形は「人形(ひとがた)」と呼ばれ、自分の名前を記入し、体の悪い部分を撫でることでケガレを移します。
その後は神社や地域ごとのやり方に従って川に流したり、かがり火で燃やしたりして厄をはらいます。以前書いたことがあるひな祭りの習慣と似通ったものがありますね。
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衣替え、年末大掃除にひな祭り…。調べれば調べるほど、日本の文化や習慣は「ケガレ思想」を背景としてつながりを持っているのだと驚かされます。
この記事を書いている時点で、夏もそろそろ残暑の時期となってきました。だんだんと日も短くなり朝晩に涼しさを感じる季節となることでしょう。
ちなみに、最近は某テレビ番組の影響で俳句に興味を持つ人も増えているそうですね。実は「衣替え」は、夏服の軽やかさをあらわす夏の季語として今でも好んで用いられているそうです。こういう風流さってとてもいいですね。
次の衣替えでは、昔の人の感覚に思いを馳せてみるのも悪くないかも?
参考資料
火田博文『本当は怖い日本のしきたり』(彩図社・2019年)