現代なら炎上必至!日本各地のお国柄をまとめた「六十六州人国記」が毒舌すぎる【東北&関東甲信越編】:2ページ目
青森県&岩手県&宮城県&福島県(陸奥国)
陸奥は日本のドン詰まりだから、人々も気詰まりで重苦しいと言うか、まるで岩の絶壁と話しているような気分になる。
話をしていても理解力が乏しいのか頑固なのか、喩えるならゴミが溜まった小川のようにもどかしい。
五十四郡あって文化や習慣も大きく2~3系統に分けられるけど、だいたい同じだから気にしなくていい。
人々の振る舞いや言葉遣いは野卑だが、勇敢さにかけては日本中のどこにも劣らないだろう。
女性は色白で髪も長く、美しいが、その仕草や言葉遣いは取り立てて褒めるほどでもなく、むしろ下品である。
この国における上臈(じょうろう。身分の高い女性)と言っても、上方の下臈(げろう。逆)に及ばないが、心根は優しく気立てもよいので、上方の男よりははるかにマシだ。
総じて思慮分別に欠ける粗忽者が多く、千人に九百人くらいと言ったところ。
「いきなりまとめて4県とか大雑把すぎだろ!」……言いたい気持ちは解ります。解りますが、これが律令制度(鎌倉時代~明治時代初期)における「陸奥国」なんです。
※歴史の教科書や国語の資料集などでは、岩代&磐城(福島県)、陸前(宮城県)、陸中(岩手県)、陸奥(青森県)に分かれて書かれた地図もあると思いますが、それは明治時代に入ってから廃藩置県までの区分でした。
それにしても、絶壁だのゴミの溜まった小川だの……しょっぱなからボロッカスですね。
54もある郡をざっくり2~3に分けたかと思えば、どれもだいたい同じって、これだけ広大な土地で、絶対そんな事はない筈です(まぁ、作者にしてみれば興味もなかったのでしょう)。
女性についても色白で髪も長い美人と褒めているようでいて、この国のトップクラスでも上方の底辺クラスに敵わない、でも上方の男よりはマシって、全然ほめ言葉になっていません。
全体的に粗忽者が多く、割合的には1,000人に900人くらいと言いますが、恐らくきちんと調べたのではなく、10人中9人程度のサンプルを単純に100倍したのでしょう(そもそも地方には興味なさそうですし、この作者)。
勇敢さにかけては全国トップクラスと言っていますが、要するに「野蛮」というニュアンスなのでしょう。