現代なら炎上必至!日本各地のお国柄をまとめた「六十六州人国記」が毒舌すぎる【東北&関東甲信越編】:3ページ目
秋田県&山形県(出羽国)
だいたい陸奥国と違いがないけど、あっちよりは可愛げがあって、知恵も働く。武士は主君や親に対する真心があって、上は下をいたわり、下は上を敬うことをわきまえている。
庶民は地頭に従順で、安心して統治できる。というのも、出羽国の者たちは自分たちが恥ずかしい田舎者だと理解し、身の程をわきまえているからである。
そんな心映えが顔や体つきに表れているため、四民(士農工商)ともにいい感じである。
めちゃくちゃ上から目線ですね。可愛げがあるだの身の程をわきまえているだの……本当にこの作者は何様なんでしょうか(鎌倉幕府の執権サマという設定になってはいますが)。
ここでも秋田県と山形県を一緒くたにする大雑把さが出ていますが、これも陸奥国と同じ理由で、羽前(山形県)、羽後(秋田県)に分かれたのは明治時代初期でした。
平和そうで何よりですが、ここまで言われてしまうと、何かしら反抗してやりたくなってしまいます。
この作者は、もう少し「他人をいたわる」思いやりを持った方がいいのではないでしょうか。
群馬県(上野国)
碓氷、吾妻、利根の人たちは信州(長野県)人に似ている。勢田、佐波、新田、そして片岡の四郡については信州以上である。しかしここ一番では信州よりもヘタレである。
例えば信州人なら戦に負けてもいじけるような事はなく、次こそ勝とうと頑張るけれど、上野国の人々はたった二、三度負けると屁理屈をこねて戦うのをやめてしまう。
邑楽、群馬、甘楽、多胡、緑野、那波、山田などの人々はとかく流されやすく、一人が奮い立てばみんなで気勢を上げるが、一人が怖気づくとみんな逃げ出してしまう。気分がコロコロと変わりやす過ぎるのはどうにかならないものか。
お隣の県(国)だからか、とかく信州と比べられ、「ヘタレ」「流されやすい」など、引き立て役にされています。
どっちかと言えば、関東平野でつながっている東の下野国(栃木県)や南の武蔵国(埼玉県&東京都)の方が比較対象になりそうですが……。
栃木県(下野国)
下野の人たちは清濁併せ吞んでいるつもりで濁に呑まれてしまったのか、傍若無人な性格をしている。普段から辻斬りや強盗をはたらいてもそれを恥じることもなく、強欲で冷たく、過ちを認めず、直そうとしない。
しかし勇敢さにかけては、上方の五ヶ国、七ヶ国を合わせたよりも優れている。
恥を知らず、道理を知らないために不法行為が多く、特に芳賀、寒川、塩屋、那須、真壁の連中はひどすぎる。
勇敢さを除いて、頑固で強欲、恥知らずと散々な酷評。清濁云々と言っているのなら、せめて清い部分についても言及があって欲しいものです。