現代なら炎上必至!日本各地のお国柄をまとめた「六十六州人国記」が毒舌すぎる【東北&関東甲信越編】:4ページ目
茨城県(常陸国)
盗賊が多くて夜討ち押込み(強盗)辻斬りを好み、罪を咎められてもそれを恥とも思わない。どんだけ図太い神経で生まれてきたのだろうか。
武士もだいたいそんな感じで、道理を知っていても自制が出来ないため、我欲を押し通すための方便に使うばかりである。
まったくロクな人間がいないが、仲間を裏切るような卑怯者は千人に一人もいない。
北関東3県(群馬、栃木、茨城)を並べてみると、西へ行くほどヘタレで、東へ行くほど凶暴というイメージを持っているようです。
下野国が辻斬りや強盗を「恥じない」のに対して、常陸国はそれらを「好む」……当人たちからそう訊いたのでしょうか。
仲間を裏切らないという点のみが、作者にとって美点のようです。
埼玉県&東京都(武蔵国)
この国の人々はとても明るく朗らかで、例えば大事にしている皿を誰かが割ってしまっても、怒るどころかその人に怪我がないか、いたわってあげる程である。
サッパリとした気風で、たとえ戦に敗れても次の勝利を目指して前向きに臨み、また勝っても驕らず、目先のことに一喜一憂しない余裕を持っている。
ただし、その大らかさが時として傲慢に見えることもある。
のびのびと大らかな人柄は、関東平野の広大さと何か関係があるのでしょうか。基本的に褒めちぎるばかりです。
最後の一言が余計な気もしますが、それさえも「大らかさゆえなのだ」と結局ヨイショしています。
その「大らかさ」を、作者は少し分けてもらうといいでしょう。
千葉県(安房国・上総国・下総国)
【安房国】
安房の人々はナイフのように尖った性格で人と仲良くせず、立ち居振る舞いも武骨で垢抜けない。男女共に死を恐れない勇敢さを持つも、思い込みが激しく、無鉄砲に突っ走りがち。しかし言葉は卑しいけれど真正直なところもあって、武士としては上等の素質を持ち、庶民たちも武士に劣らぬ資質を備えている。善悪はともかく、一度こうと決めたら最後までやり遂げる意志の強さを持っている。
【上総国】
この国の人々はだいたい安房国と違いはないけれど、安房国より偏屈である。庶民はいつも夜討ちや山賊稼業で喰って行こうと考えており、まっとうに働こうと考える者は百人に十人もいない。
武勇においては関東随一を誇るが、すぐカッとして実力行使に突っ走るので危なっかしい。
【下総国】
上総国と同じだけど、結城郡の人々はこの国には珍しく律儀な性格である。
三ヶ国で一つの千葉県となっていますが、書いている内に飽きてしまったのか、記述は竜頭蛇尾な印象です。
どうも気性が荒く、直情径行に突っ走りがちなようですが、根は正直らしく、意志の強さなど、北関東三県にに比べると好意的に書かれていますね。
ちなみに、特に律義さを謳われている結城郡は、現代の茨城県南西部に相当します。