歌舞伎や寄席、相撲でよく見る「江戸文字」実は呼称もデザインも全て違う。正しくはなんて言うの?
よく寄席や歌舞伎に行くとみかける、独特のフォルムの丸っこい文字。相撲の番付表の文字にも似てますよね。みなさん、全部同じ書体だと思っていませんか?
それらひっくるめて通称「江戸文字」と呼ばれますが、実は成り立ちもデザインも違う文字なのです。
江戸文字のもとになった文字は?
源流をたどると、能筆で知られた伏見天皇を父にもつ尊円法親王(1298~1356)に行き当たります。彼は現在も存在する京都の青蓮院門跡にて、書に勤しんでおりました。門跡とは、皇族や公家が住職を務める寺院のこと。彼はその青蓮院から名をとり、「青蓮院流」を創始します。その書は実用的であり、「御家流」と名を変えて広く一般にも行き渡ります。
徳川幕府は公式文書の読み間違いを防ぐため、この御家流を公用文字として使い始めます。書簡や高札や制札にも使い、我流の崩し字を許さず統一しました。そのため、寺子屋の手習いの字などの見本にもなり、瞬く間に大衆化して全国に浸透しました。
この御家流の文字が元になって、町人文化が花開くとともに、様々な書体が発展していったというわけです。