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歌舞伎や寄席、相撲でよく見る「江戸文字」実は呼称もデザインも全て違う。正しくはなんて言うの?

歌舞伎や寄席、相撲でよく見る「江戸文字」実は呼称もデザインも全て違う。正しくはなんて言うの?

相撲の相撲文字は「根岸流」

相撲で使われるのは「根岸流」、通称相撲文字と呼ばれます。大相撲の番付や広告、現在のポスターなど多岐にわたって使用されています。

江戸時代の相撲興行や力士の育成に当たっていた組織を「相撲会所」と呼びますが、会所に属す番付版元の三河屋根岸治右衛門兼吉(みかわや ねぎしじえもん けんきち)が創始したと伝えられています。

根岸流は、勘亭流や橘流とも似ていますが、より隙間が少なく直線的です。隙間なくお客がびっちり入りますように、という願掛けの意味と、力士が互いに力を出し合う様子を表しているともいわれています。

根岸家は10代目の根岸治右衛門まで番付の発行を担っていましたが、1952年に相撲会所に年寄株を返上するとともに廃業しました。根岸流は現在は相撲協会のもと、行司の必須技能として後輩に脈々と伝えられています。

上記三つに共通しているのは、余白の空間を極力なくすことで「お客さんがたくさん入って欲しい」という験担ぎの心が根底にあることです。日本人の頭髪は黒いことから、黒い墨がみっちりと余白を埋めている様が、人がぎゅうぎゅうに入っていることと見なされました。

5ページ目 千社札の籠文字は複数の流派

 

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