流浪と反逆!室町幕府のラスト将軍・足利義昭の苦難と悲劇に満ちた壮絶人生【前編】:2ページ目
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流浪の日々と理想への決意
兄の死後、義秋自身も命の危険にさらされ、各地を逃げ回ることを余儀なくされます。して、この逃亡生活の中で、彼はただ自らを守るだけでなく、「室町幕府の再興」という使命感を抱くようになるのです。
義昭は身分を越え、各地の有力者に助けを求めることで、人脈を築いていきました。その過程で、越前の朝倉義景をはじめとする戦国大名たちと接触し、支援を求めました。
朝倉義景の庇護のもとで、義秋は再び、「義昭」と改名します。一方で、幕府再興は遅々として進まず、朝倉家の消極的な対応に、次第に業を煮やしていきます。そこで、彼が頼ったのが尾張の織田信長でした。この出会いが、義昭の運命をさらに大きく変えることになります。
信長との協力と将軍就任
1568年、信長の助力を得た義昭は京都に入京し、15代将軍に就任しました。信長が義昭を擁立した理由は単純ではありません。信長にとって義昭は、室町幕府という権威を利用するための「象徴」に過ぎなかったのです。それでも義昭にとって信長の武力は不可欠でした。
将軍就任後、義昭は混乱した京都の秩序回復に尽力します。彼は寺社の再建を進めるとともに、公家や武士たちと連携し、かつての幕府の権威を取り戻そうとしました。文化的教養にも優れていた義昭は、和歌や書道を奨励し、伝統文化の復興にも力を注ぎました。
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流浪と反逆!室町幕府のラスト将軍・足利義昭の苦難と悲劇に満ちた壮絶人生【中編】
前編の記事はこちらから[insert_post id=237842]理想と現実の板挟みー信長との対立将軍としての義昭の理想は次第に、信長の現実的な野心と次第に衝突するようになります。信長は…
参考
- 桑田忠親『流浪将軍 足利義昭』(1985 講談社)
- 奥野高広『人物叢書 足利義昭』(1996 吉川弘文館)
- 久野雅司 編著『シリーズ・室町幕府の研究 第二巻 足利義昭』(2015 戒光祥出版)
- 久野雅司『中世武士選書40 足利義昭と織田信長 傀儡政権の虚像』(2017 戒光祥出版)
- 黒嶋敏『天下人と二人の将軍:信長と足利義輝・義昭』(2020 平凡社)
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