山頂の宇宙人?食べられる砂?名前の変わってしまった山の知られざる言い伝え
名前が色々と変容していく場所や地名が数多くありますね。そのなかで、漢字の変わってしまった、不思議な伝承のある山を2つ紹介したいと思います。
神奈川県「塔ノ岳」にまつわる不思議な言い伝えとは?
初心者にも人気の神奈川県・丹沢山塊で「塔ノ岳」という山があります。小田急線の秦野駅下車、隣には「大山詣で」で有名な観光スポット、大山があります。
塔ノ岳に登るルートの中で、有名なヤビツ峠という峠から登るコースがあり、標高をあげるごとに「一ノ塔、二ノ塔、三ノ塔」とピークが続きます。
実はこの「塔」は、昔は「燈」の字があてがわれており、そこには次のような古い言い伝えがありました。
むかし、毎夜山に光るものが現れ不思議に思った村人が登ってみると、突然空に御神燈が光り、奥の山上に、そのまた奥の山上にと光輝き、ついには竜馬に乗った神童が現れて神像を村人に渡してこれを祀るようにと云います。村人は最初に燈った山麓に加羅古神社を建立し、麓の者たちは燈火がともった頂の順番に、二ノ燈、三ノ燈と呼ぶようになったということです。
加羅古神社は古くは唐子神社とかき、唐土(もろこし)から飛来した神を祀ったのが始まりと言いますから、この神童はきっとその唐土の神のことでしょう。神社も唐子→加羅古と改変されていますね。
しかし山頂の「塔ノ岳」の塔は、燈火とは関係なく、山頂にあった「尊仏岩」を地元の方が親しみをこめて「お塔」と呼んでいたことから、塔ノ岳と名付けられたということです。尊仏岩は雨乞いの神として崇められていましたが、残念ながら関東大震災の折に崩れ落ちてしまいました。
現在、その山頂には拘留孫仏(くるそん)の石祠があります。拘留孫は釈迦登場以前に存在していたとされる6つの仏のうち、4番目に現れた仏のことです。
この神童は一体何者だったのでしょうか。高度な科学技術をもった宇宙人? 人知れず修行していた修行僧? いろいろ想像をかきたてられますね。