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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 地位に驕らず、謙虚な姿勢で人材発掘。徳川家康が土井利勝をたしなめたエピソード【どうする家康】

地位に驕らず、謙虚な姿勢で人材発掘。徳川家康が土井利勝をたしなめたエピソード【どうする家康】

人間、偉くなるとフットワークが重くなり、「用があるなら相手から来るだろう」などと思ってしまう手合いも少なくありません。

それでも相手が来るから良かろうとタカをくくっていると、得てしてロクでなしばかりが群がってきがちです。

今回はそんな慢心を戒めた徳川家康(とくがわ いえやす)とその家老・土井利勝(どい としかつ)のエピソードを紹介したいと思います。

あいさつに来ぬゆえ知らぬとは……

土井利勝がまだ若いころ、家康がある家臣に役目を与えようと思い、利勝に諮問しました。

「某について、器量や評判について何か情報があるか」

はて、左様な者は……利勝は答申します。

「彼の者につきましては、我が元へあいさつにも来ぬゆえ、わかりませぬ(此者は愚亭へ終に出入仕らず候へば、聢と存ぜず候)」

これを聞いた家康はたちまちご機嫌斜めとなり、利勝を叱り飛ばしました。

「バカもん!わしの目につく程の才覚を現しておる者を、家老のそなたが知らぬとは何事ぞ。まして『あいさつに来ぬゆえ』と言うことは、そなたはおべっか使いのへつらい者ばかり取り立てるつもりか!」

アピール上手で能力も高ければともかく、往々にしてそうした手合いは立身出世ばかり考え、アピールや世渡りだけに長けているもの。

「そのような者ばかり取り立てれば御家は傾き、遠からず滅び去る事となろう。わしはもちろん、そなたまで暗愚の汚名を蒙ろうぞ」

「誠に申し訳ございませぬ。とんだ心得違いにございました。」

2ページ目 逸材を発掘してこそ忠義の家老

 

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