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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「三方ヶ原の合戦」で武田信玄に惨敗した徳川家康。しかしその負けっぷりが見事過ぎた【どうする家康】

「三方ヶ原の合戦」で武田信玄に惨敗した徳川家康。しかしその負けっぷりが見事過ぎた【どうする家康】:2ページ目

武田の大軍を前に高いびき

「良いから門は開けておけ。見ておれ、開けておけば武田は来ぬから」

「合点が行きませぬが、何ゆえでしょうか?」

「敵の立場になって考えてみよ。もし城門が堅く閉ざされていれば、きっと我らが窮地であると見抜いて力押しするだろう」

「はあ」

「逆に門が無防備に開け放たれておれば、城内に何か罠を仕掛けたので誘い込んでいるのではと疑わぬか?」

「なるほど、要するにハッタリですな」

「まぁ、そうなるな」

「しかし、もしそれでも武田が乗り込んで来たら……」

「その時は、いくら門を閉ざそうが防ぎ切れぬじゃろうな。どっちみち無駄ならば、休める内に少しでも休んでおけ」

「ははぁ」

言うなり家康はハッタリついでか景気づけか、門前にでかい篝火(かがりび)を焚かせ、自身は奥へ入りました。

「腹減った!メシ!」

腹が減っては戦はできぬ。次なる戦いに備えて湯漬け飯をドンブリ三杯も平らげます。

「疲れた!寝る!」

腹が満たされれば眠くなるのは健康な証拠。家康はひっくり返って高いびきをかき始めました。

よほど疲れていたのでしょうが、それにしても敵の大軍が迫っている中で、大した豪胆ですね。

嘘かまことか家康のいびきは城外にまで響いたと言います。これを聞いた武田の軍勢は罠を警戒。浜松城への攻撃を中止したと言うことです。

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