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異界をつなぐ「出合」「坂」「橋」…その日本語に込められた意味にあなたは気がつけますか?:2ページ目
サカ
「サカ」は境、堺であり空間を区切る場所のこと。転じて「坂」となり、坂は天界と下界、または地上と地下が仕切られる場所ともなります。
古事記に登場する神話で、国を作ったイザナギ・イザナミ夫婦。亡くなった妻イザナミがいる黄泉比良坂(よもつひらさか)は黄泉の国。迎えに行った夫のイザナギが、振り返ってはならないと言われたにも関わらず振り返ってしまい、怒ったイザナミに襲われるという話は有名です。
上記の神話のように、サカはアイとは違い、世界と世界をわける境界線を超えてはならないという禁忌の意味が含まれています。以前こちらで記事にした妖怪「送り狼」も、背後の違和感や恐怖で人間が振り返ってしまうと、食い殺されてしまいます。
一度入ってしまった異界からは速やかに出ていかなければならない、という意味も込められているのかもしれません。
聖なる場所は概ね高い場所に造られます。山岳信仰の色濃く残る霊山には、「坂」である登山道に鳥居や注連縄があり、結界を示しています。そこから先は神の国、そして必ず山頂に祠や社があります。そのため、後世日本に伝来した仏教寺院も、もともと山中にある神社の近くに作られることが多々あります。
比叡山には日枝神社が既に存在しており、日枝の音から「比叡」となりました。高尾山も高尾山神社のすぐ下に「薬王院」が造営され、御本尊は「飯縄大権現」です。権現は、神が仏の姿を借りたとされています。仏は後で、先に神がいたのです。
また「アイ、サカ、ハシ」の近くには巨木や巨岩が存在することもあります。注連縄がかけられ、鳥居が設けられて神聖なものとされていることも多々あります。
注連縄によって神聖な場所だと人に知らしめ(禁断の結界)、その逆に、雷が落ちて木や岩が割れると神の怒りと捉えられ、たくさんの人間から祈りが向けられるように鳥居を設けられた場合もあります(祟りを鎮める)。
日本の精神世界において、自然信仰(アニミズム)は表裏一体、陰と陽なのです。
参考文献:日本異界図典(朝里樹、ジー・ピー)、「里山奇談 よみがえる土地の記憶」(coco/日高トモキチ/玉川 数、角川文庫)
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