発端はちょっと恥ずかしいお話?太宰治の名作「走れメロス」の元ネタと発端とは?:3ページ目
作者死すとも物語は死なず!メロスの物語は今もなお走り続ける
こうしたドタバタが原因で生まれた名作『走れメロス』は太宰の死後も上梓され続け、今では児童向けの絵本や漫画、アニメ映画など様々な媒体で世に流布しています。大塚食品のCMに起用されたり、AKB48の歌にも元ネタとして採用されたりと、その躍進はとどまることを知らないかのようです。
また、メロスの友人であるセリヌンティウスを主体にした『走れセリヌンティウス』など、コミカルなパロディ漫画もあれば、メロスの走った距離を学生が研究したりと、多方面から捉えた創作・学術研究は数え切れません。
前述したようにモデルが歴史上の人物であり、『もう一方の主役』『裏切りの被害者』と言う見方も出来るディオニス国王の描き方も様々です。アニメ映画では非情な悪人ですが、児童書や漫画などでは改心する場面を『穏やかな表情で負けを認める』『二人の手をとって涙を流す』など、王様にも感情移入しやすく描いた作品が多くあります。
『走れメロス』自体は短編小説ですが、このようにして成立背景は膨大なデータと時間の積み重ねであり、その結果として今もなお多くの人の心をつかんで離さない不朽の名作として活躍し続けています。その名作を作り上げたことこそ、太宰治が遺した大きな功績のひとつと言えるのかもしれませんね。