もっちり&清涼感がたまらない!夏の京風スイーツ「もっちりとした麩まんじゅう」試食レビュー
夏、甘いものが欲しくなるとかき氷など氷菓を食べたくなることが多いですが、体を冷やすのが困りものと言う方も多いのではないでしょうか。そこで筆者がおススメするのが、清涼感と満足感をダブルで味わえる和のスイーツ・麩饅頭です。
実は皇室ゆかりのスイーツだった麩饅頭
麩饅頭は読んで字の如く麩、それも生麩を使った生地でこし餡を包んだお饅頭です。生麩と言えば京都が有名ですが、この麩饅頭も京都で生まれています。その発祥についても色々な説があり、精進料理が元だと言う説もありますが、最も有名なのは『麩嘉』と言う生麩の店が作ったと言うものです。
皇室御用達の店でもある麩の老舗『麩嘉』が麩饅頭を開発したのは、生麩が好きだった明治天皇から『生麩で餡を包んで欲しい』と依頼を受けたのがきっかけであったと言われています。当時のご主人が陛下直々のご要望にお応えして生麩にこし餡を入れ、お饅頭のようにして皇室に納めたのが麩饅頭の始まりです。
ちなみに、米窪明美著『明治天皇の一日』によると麩饅頭は朝食用でもあったらしく、明治天皇に仕えた方達の回顧によると、牛乳が少し入った色をしたコーヒー(カフェオレ)と共に水っぽい餡が入った生麩、つまり麩饅頭が皇居の朝食に出されていた事が記されています。
皇室から気軽に相談やリクエストを受けたお店が、それを形にしてしまうと言う麩饅頭の誕生秘話は、皇室のお膝元として敬愛と親密を持ち続けてきた京都の老舗らしいエピソードと言えます。
麩饅頭、いざ実食!
今回、筆者が麩饅頭の実食に用いたのはLawsonで売られている『もちもちとした麩まんじゅう』です。値段も税込140円とお手頃で、軽く食べたい時などにも良いでしょう。この麩饅頭は笹の葉でベージュ色の生地を包んでいて、京都の和菓子で作られる本来の麩饅頭を忠実に再現しています。
冷やされた生地は少し塩気のある味で、粘り気とモチモチした噛みごたえ、そしてツルリとした喉ごしで、麩が持つグルテンの食感を満喫できました。あんこは北海道産の『きたろまん』を使った、水気が少し残っている甘さと香りが控えめのこし餡でしたが、それが笹の葉の香りや素朴な生地と良くマッチしています。
また、グルテン豊富な生麩を使っているだけあって消化も良くて腹持ちも良いため、明治時代の皇居で朝食用に用いたのも納得の食べ応えです。麩饅頭は『麩嘉』で風味と色を付けるのに青ノリを使いますし、他の和菓子屋さんのようにヨモギを使う場合もありますが、Lawsonの麩饅頭はそうした混ぜ物がない分、麩が持つ本来の風味を堪能できます。
リーズナブルな価格で清涼感と満足感、そして京風の雅な味わいまでも堪能したい…そんな欲張りな願いを叶えてくれる麩饅頭、この夏のスイーツに如何でしょうか?
参考文献 明治天皇の一日 皇室システムの伝統と現在