ついに『源氏物語』誕生!ヒロインのモデルは藤原定子?ほか…大河「光る君へ」8月18日放送振り返り:4ページ目
『源氏物語』を書くための紙は何枚必要?
かつて「越前の美しい紙で物語を書いてみたい」というまひろの願いを叶えるため、越前から上等の和紙を取り寄せた道長。
これを使って『源氏物語』が書かれたことになりますが、果たして何枚の紙が使われたのでしょうか。
倉本一宏『紫式部と藤原道長(講談社現代新書)』の考察によれば、『源氏物語』の文字数は数え方にもよりますが933,135文字だそうです。
これを400字詰め原稿用紙に換算すると、
933,135÷400≒2,333枚(2,332.8……)
が必要になります。
しかもこれは改行なしでビッシリ文字を埋めた場合なので、改行や改頁を考慮すると更に枚数は増えたでしょう。
もちろん一気に書き上げた訳ではないでしょうが、これだけの文章を書けたのは、道長の経済支援あればこそですね。
『源氏物語』桐壺更衣のモデルは定子?
綿密な取材の末に脱稿した『源氏物語』。この時点では、まだ第一帖「桐壺」くらいまでと思われます。
道長「主上(おかみ。一条天皇)がこれを読まれたら、かえって機嫌を損ねられてしまうのでは……」
そう危惧するのも無理はありません。ここに登場するヒロイン・桐壺更衣(きりつぼのこうい)は、亡き藤原定子(高畑充希)そっくりなのですから。
帝の寵愛を受ける女性が、嫉妬する周囲からひどい虐めを受け続ける。そのシチュエーションが、まさに定子そのものでした。
そんな桐壺更衣の恃みは桐壺帝からの寵愛のみ。苦境の中で産んだ皇子こそ、本作の主人公・光源氏です。
……が、一条天皇はそこまで読めずに草紙を閉じてしまいました。
そりゃそうです。結局は定子を守りきれずに喪ってしまったトラウマをえぐられる思いだったことでしょう。
一度は草紙を置いた一条天皇。しかしきっと、再び草紙を手に取るはずです。
ひとたび読んでしまったら、続きが気になってしょうがなくなる。物語とはそういうもの、皆さんも経験があるかも知れません。
物語に心揺さぶられればなおのこと、桐壺更衣がその後どうなったかを知らずにはいられないでしょう。
果たしてまひろがそこまで読んで、あえて一条天皇の神経を逆撫でる作品を書いたのか、気になるところです。
『枕草子』で美しくのみ彩られた人々の本性をえぐり出したい。そんなおどろおどろしい試みがあったのかも知れませんね。
第32回放送「誰がために書く」
かくして世に出た『源氏物語』。これが一条天皇の気を惹きつけて評判を呼び、まひろは中宮・藤原彰子(見上愛)の女房として使えることになります。
次週からは一気に登場人物が増えますが、果たしてどんな展開を迎えるのでしょうか。
また源倫子が道長とまひろの関係に言及する場面がありましたが、いよいよ修羅場が来る可能性も考えられます。
果たしてまひろの女房ライフがどのように描かれていくのか、楽しみですね!
トップ画像:大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより