「元寇」は北海道や沖縄でも起きていた!実は”神風神話”もフィクション?近年の歴史解釈を紹介:2ページ目
戦場も本土だけではなかった
また、モンゴルとの戦闘は北九州だけではなく、日本の他の地域でも行われていたことは意外と知られていません。
他の地域というのは、具体的には北海道・サハリン、そして沖縄(琉球)の2か所です。
これに北九州を合わせると、日本は13世紀に3つの地域で大規模な対外戦争を行っていたと言えるでしょう。
北九州はまだしも、北海道や沖縄でもモンゴルと戦っていたと言われると、不思議な感じがする人も多いと思います。
しかし実際、当時のモンゴルは中国東北部へも侵入し、1234年には女真人たちが建てた金を滅ぼしてサハリンなどにも進出していたのです。そしてアイヌの人々はこれらと交戦しています。
また、さらにモンゴルは東南アジアにも侵攻し、ベトナム(陳朝)やインドネシアのマジャパヒト王国などとも戦っています。侵攻範囲が琉球にも及んだのも不思議なことではありません。
現在の教科書はすでにこのことを反映しており、「…アイヌの人びとのうち、サハリンに住んでいた人びとは、モンゴルと交戦しており、モンゴルの影響は広く日本列島におよんでいった」(『詳説日本史B』山川出版社)と説明しています。
現代の教科書では、世界史の動向と絡めて日本史を説明するという傾向が強いです。