【最終回】「鎌倉殿の13人」義時たちに待ち受ける、それぞれの結末。第48回放送「報いの時」振り返り:7ページ目
エピローグ「報いの時」
これまで粛清を繰り返した報いを受ける義時。坂東を弄んだ報いを受ける後鳥羽上皇。盟友を裏切り続けた報いを受ける三浦義村。夫を心から愛さなかった報いを受ける“のえ”。そして弟に手を汚させ続けた報いを受ける政子。
「13人目は、あなたです(≒頼家にはさせない)」
かつて宿老たちの合議制を定めた時のセリフですが、思い返すとそんな伏線が張られていたのかも知れません。
恐らく誰よりも自分を好きだった弟の命を、自分の手で断たねばならなかった政子のすすり泣きで締めくくるエンディングは、さすが三谷幸喜らしい後味の悪さ(褒め言葉)でしたね。
しかし医師は義時に対して「今度身体が動かなくなったら、この薬を」と言ったようですが、それって目的は治療ではなく、いっそ楽になる≒もう打つ手がないからすぐに死ねる薬だったのではないでしょうか。
また画面を見たところ、ただ無色透明な液体だったので、もしかしたら単なる水だった(プラシーボ効果でワンチャン回復する可能性を狙う≒やはり打つ手がなかった)可能性も考えられます。
かくして色々な意味で異色だった今作「鎌倉殿の13人」は、大河ドラマ史上に特筆すべき一作として、末永く愛されることでしょう。
物語は、300年後の戦国乱世へ
あぁ、面白かった……出て来たのは、『吾妻鏡』を愛読する徳川家康(演:松本潤)。令和5年(2023年)大河ドラマ「どうする家康」につなげる冒頭シーンは非常に斬新でした。
本の表紙が『吾妻鏡』だった時は「まさか」と思いましたが、一作品中で数百年の歳月を行ったり来たりする手法は、前作大河「青天を衝け」のオープニング「こんばんは、徳川家康です」を彷彿とさせます。
ちなみに家康青年が読んでいた『吾妻鏡』は第25巻。まさに承久3年(1221年)の記事が収録されており、こういう細かい描写も心憎いですね。
さて、来年の大河ドラマ「どうする家康」は令和5年(2023年)1月8日(日)スタート。戦国乱世を駆け抜けた徳川家康の活躍を、みんなで見届けていきましょう!
※参考文献:
- 五味文彦ら編『現代語訳 吾妻鏡8 承久の乱』吉川弘文館、2010年4月
- 五味文彦ら編『現代語訳 吾妻鏡9 執権政治』吉川弘文館、2010年11月
- 三谷幸喜『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 完結編』NHK出版、2022年10月
トップ画像:NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」公式サイトより