「鎌倉殿の13人」これは謀反か敵討ちか…第23回放送「狩りと獲物」振り返り:3ページ目
「だって鹿でしょ?」そっけない政子の態度。でも本当は……
さて、とにもかくにも「大きな鹿を射止めた」ということになった万寿。その成果を御台所へ伝えるため、『吾妻鏡』では梶原景時の次男である梶原平次景高(へいじ かげたか)が鎌倉へ走っています。
が、今さら登場させるのもアレなので、ここは万寿の乳母父である比企能員が痛むお尻or足をこらえて駆けつけました。
しかし政子(演:小池栄子)は「大したことない。だって鹿でしょ?」とそっけないこと。隣の大姫(演:南沙良)も「鵺でも射たというならともかく……」と追い討ちをかけます。
この鵺(ぬえ)とは伝承上の怪鳥(諸説ありますが頭はサルで手足はトラ、腹はタヌキで尾は蛇とのこと。鳥要素が皆無ながら、あくまで鳥ということに)で、かつて源頼政(演:品川徹)が射落としたという伝説で有名です。
何だ、わざわざ伝えてやったのに……憮然とする能員を尻目に立ち去った政子と大姫ですが……。
政子「帰ったら、うんと褒めてやりましょう」
本当はとても嬉しかった政子と大姫。あくまでも万寿は比企一族でなく、我が北条の子として、他家の者と喜びを分かち合う気にはなれなかったようです。
でも、劇中では一頭も射止められていない万寿。裏を知らない政子たちの優しさが、さぞ辛かったことでしょう(本当のことは話せないでしょうし)。
おごれる祐経、久しからず
京都文化に通じていることから近ごろ頼朝の信任厚い工藤祐経。前に「鎌倉は怖い所だ」と怯えていたのも忘れ、調子に乗って義時にも大きな態度。
頼朝がいつものスケベ心を出して比奈(演:堀田真由)の元へ夜這いに行くため、影武者として寝床にいたのが運の尽き。曽我五郎時致(演:田中俊介)に斬られてしまいました。
前に「コロナ禍なので合戦・戦闘シーンは無理か……」的なことを言いましたが、曽我勢を待ち受ける畠山重忠(演:中川大志)。
「ついに来たか……かかれ」
小規模とは言え、見ごたえのある戦闘シーン。やっぱりカッコいいですよね。また曽我十郎祐成(演:田邊和也)と仁田忠常(演:高岸宏行)の一騎討ちも手に汗握ります。
「いつもニコニコ、時には大泣きするけど、ここ一番では毅然と武勇を魅せる」やっぱり忠常はカッコいいですね。
でも、曽我兄弟に兵を貸したのは北条時政であり、忠常はその兵たちを取り仕切っているはず。忠常が「止まれ、そっち(頼朝の寝所)へ行くな」と言えば、その命令を優先するんじゃないでしょうか。
ちょっとこの辺りに違和感を覚えました。やはり曽我兄弟の仇討ちは二人きりで決行するのが自然かと思います。
又しても(スケベ心で)天に救われた頼朝……と思いましたが、どうやら頼朝は天運が尽きかけていることを感じている様子。
「もうわしのやることは残っていないのか……」
これまで鬼であった頼朝が、人間に戻りつつある一方で、その背中を見て育った義時が鬼へと成長しつつありました。