「鎌倉殿の13人」これは謀反か敵討ちか…第23回放送「狩りと獲物」振り返り:4ページ目
もし頼朝と万寿が死んだら……鎌倉にうごめく野望の芽
頼朝が襲撃を受けた。その生死が定かならぬ鎌倉では、早くも次の鎌倉殿を擁立する動きが芽生えます。
「頼朝が死ねば、万寿が後継者。さすれば乳母父である我らの時代」と喜んでいた比企能員と道(演:堀内敬子)ですが、頼みの万寿も死んだ?と聞いて娘婿の源範頼を焚きつけました。
「ここで立たねば、鎌倉が滅びますぞ!」
まずは頼朝の生死を確かめてからでも遅くない……大江広元(演:栗原英雄)・二階堂行政(演:野仲イサオ)の反対を振り切り、三善康信(演:小林隆)の助けで鎌倉殿を継承しようと乗り気になります。
が、頼朝は生きていた。ぶじ鎌倉に帰ってきたことを喜ぶ範頼ですが、一度「鎌倉殿に、それがしはなる!」というポーズを見せてしまった範頼は、頼朝から謀叛を疑われることに。
……とまぁ、ここまでは『吾妻鏡』などにも概ね(比企らが焚きつけたなどはフィクション)書いてあるため、覚悟はしていました。が、しかし。
頼朝と万寿が死ねば、千幡(源実朝)に鎌倉殿の継承資格が……にわかに気づいてしまった実衣(演:宮澤エマ)の豹変ぶりに驚いた視聴者は多かったのではないでしょうか。
実衣「源氏の棟梁になるのは……千幡、あの子。だって、ほかに誰がいるというの。乳母父となって育ててきた甲斐があったというものだわ。」
全成「不届きなことを考えるのはよしなさい。実衣!」
夫・阿野全成(演:新納慎也)に肩を抱かれ、正気に返った彼女。今まで意識していなかった権力への野望に気づいて、自分が怖くなってしまう場面に心が痛みました。
マイペースなようでいて、彼女もまたかつての彼女ではなくなっていたのでした。どうか全成には、最期まで彼女をやさしく守り抜いて欲しいものです。
終わりに
かくして義時の機転により、謀叛は仇討ちの美談に祭り上げられ、事無きを得ました。しかし鎌倉へ帰還した頼朝は範頼の謀叛を疑い、やがて両者は決別してしまいます。
次週放送の第24回「変わらぬ人」。そのサブタイトルは誰を指しているのでしょうか。
疑いに疑い倒され、疲れ切ってしまった範頼でしょうか。それとも、かつて父に殺された許婚・源義高(演:市川染五郎)への思いを貫き通す大姫でしょうか。
もしかしたら、亡き妻・八重(演:新垣結衣)が忘れられない義時かも知れません。
範頼の失脚と大姫の入内工作がメインとなるであろう次週放送も、目が離せませんね!
※参考文献:
- 『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 後編』NHK出版、2022年6月