「鎌倉殿の13人」頼朝にスキャンダル発覚!壮大な夫婦喧嘩の結末は…第12回「亀の前事件」予習:3ページ目
怒った時政、北条一族を連れて伊豆へ帰る
壽永元年十一月小十四日辛巳。晩景。武衛令還鎌倉給。而今晩。北條殿俄進發豆州給。是依被欝陶宗親御勘發事也。武衛令聞此事給。太有御氣色。召梶原源太。江間〔義時〕者有隱便存念。父縱插不義之恨。不申身暇雖下國。江間者不相從歟。在鎌倉哉否。慥可相尋之云々。片時之間。景季歸參。申江間不下國之由。仍重遣景季召江間。々々殿參給。以判官代邦通被仰云。宗親依現奇恠。加勘發之處。北條住欝念下國之條。殆所違御本意也。汝察吾命。不相從于彼下向。殊感思食者也。定可爲子孫之護歟。今賞追可被仰者。江間殿不被申是非。啓畏奉之由。退出給云々。
※『吾妻鏡』寿永元年(1182年)11月14日条より
「ただいま~っと。あれ?」
頼朝が御所へ帰って来たのは11月14日の夜。ずいぶんとお楽しみだったようですね。しかし、様子がいつもと違います。
「大変です!北条殿が、一族をまとめて伊豆へ帰ってしまいました!」
えーと、何で……思い当たる節があり過ぎて逆に意味が分からない頼朝は、急いで梶原源太景季(かじわらの げんたかげすえ。景時の長男)を呼びました。
「いますぐ江間小四郎(北条義時)を呼べ!アイツはまだ鎌倉に残っているはずだ!」
なぜ頼朝は北条義時(演:小栗旬)を名指しで呼んだのか……考えられる理由は大きく二つ。
一、義時は自分に忠義を尽くしてくれる。
一、嫡男ではない義時まで連れて行ったとしたら、時政は本気で怒っている。
上総介広常(演:佐藤浩市)などに比べれば(兵数的には)大したことのない北条勢ですが、頼朝にとっては数少ない身内。
逆らったらただ潰せばよいというものではなく、利害関係を越えた絆を感じていたのでしょう。
(だったら北条に連なる宗親の扱いも相応にしなさいよ、そもそも浮気なんてするんじゃないよ……と思ってしまいますが、それはそれというのが浮気男の言い訳です)
景季「江間殿、おりました!呼びますか?」
あぁよかった……これで鎌倉は大丈夫。安堵の溜息をもらす頼朝は、さっそく義時を呼びました。
頼朝「おぉ小四郎。話は聞いていると思うが、牧三郎が不始末をしでかしたので罰したら、舅殿がヘソを曲げて伊豆に帰ってしまったのだ」
義時「はぁ、そんな事があったんですね(何も聞かされてないんですけど……)」
頼朝「しかしそなたは我が意を察して鎌倉に残ってくれた。そなたは必ずや、我が子孫を守ってくれるだろう。その素晴らしい忠義を褒めて遣わす」
義時「ははぁ、ありがたき仕合せ(まぁ、家で寝てただけなんですけど……)」
頼朝「褒美については追って沙汰する……が、その前に舅殿のなだめてきてくれ」
義時「……はい、何とかします」
なんてやりとりがあったのかどうか、後に時政や政子らも機嫌を直し、鎌倉分裂の危機は避けられたのでした。