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まるで白亜のピラミッドのように復元!斉明天皇の真陵・牽牛子塚古墳(けんごしづかこふん)ってどんな古墳?【後編】

まるで白亜のピラミッドのように復元!斉明天皇の真陵・牽牛子塚古墳(けんごしづかこふん)ってどんな古墳?【後編】

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2022/03/23

牽牛子塚古墳 ~存在感満点の白亜のピラミッド~

筆者が現地に赴いたのは、一般公開が始まってすぐの平日の午前中でしたが、多くの見学者が絶え間なく訪れ、その関心の高さがうかがえました。

見学者の多くは考古学や古代史に興味がある方たちだと思います。ただ、一応に復元された牽牛子塚古墳を見て、驚きを隠せなかったようです。「本当にこんな姿だったの?」「きれいすぎて、真実味が感じられないなぁ」という意見が聞かれました。

しかしながら、まるでコンクリートで固めたような八角形のこの姿こそ、築造当初の真の牽牛子塚古墳なのです。

奈良県や明日香村は、明日香村にある宮都跡や古墳などの歴史的資産を「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」として、世界遺産登録を目指しています。牽牛子塚古墳はその重要な構成資産の一つと位置付けていますので、そのためには、発掘調査に基づいて忠実に築造当時の姿を再現する必要があるのです。

牽牛子塚古墳の価値は、墳丘だけでなく埋葬主体部にもあります。壮大な石の建築物である2室に分かれた横口式石槨が、大変な価値を有しているのです。横口式石槨は、墳丘1段目から設けられた階段で2段目にあがり、そこから柵越しに覗き込むような形で見学することができます。

ただ、整備前のように真正面から見ることができません。そのため、石槨内部の隅々まで観察することができないのが残念です。

復元された牽牛子塚古墳については、様々な感想があるかもしれません。しかし、筆者は、石の都・飛鳥京を創造した斉明女帝の墳墓として、真実を伝えるものであると実感しました。

越塚御門古墳 ~牽牛子塚=斉明陵の決め手となった方墳~

越塚御門古墳も、一辺約10mの方墳として発掘調査に基づいて忠実に再現されています。こちらも柵越しに埋葬部の横口式石槨の見学が可能です。

古墳の中では、約12分間の映像描写(上映時間は9時~17時)が行われています。飛鳥時代および牽牛子塚古墳・越塚御門古墳の解説のほか、被葬者として斉明天皇・間人皇女(牽牛子塚)、大田皇女(越塚御門)を紹介しています。

牽牛子塚だけでなく、明日香村が今まで古墳の被葬者論に踏み込むことがなかったことを考えると、この映像は注目に値するでしょう。

模型広場 ~牽牛子塚と越塚御門の模型を展示~

牽牛子塚古墳・越塚御門古墳の右側、小高い丘が「模型広場」です。丘の一画には、牽牛子塚古墳と越塚御門古墳の模型が展示されています。古墳の全体像や墳丘・石室の構造などを理解するうえで、古墳見学の前にまずこちらに立ち寄るのがよいでしょう。

展望広場 ~明日香を一望できる高台~

牽牛子塚古墳の背後に設けられた丘が「展望広場」です。ここからは、復元された牽牛子塚越しに明日香村の風景が一望できます。牽牛子塚古墳が築造された立地が理解できるので、ぜひ登ってみましょう。

3ページ目 宮内庁の良識的見解に期待

 

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