今とはまったく違った江戸時代のお寿司の価値。由来・値段・人気ネタを比べてびっくり!:3ページ目
値段も人気のネタも全然違う!江戸時代のお寿司事情
さて、それでは価格面ではどうだったのでしょう。
現代は、回転寿司で安いものだと1皿に2貫のって100円で食べられます(90円というケースもあります)。
一方江戸時代はというと、当時の金額を現代の額に換算すると1貫で100円弱だったといわれています。今の回転寿司で、ワンランク高い部類のものと同じくらいですが、それでもかなり気軽に食べられる部類だと言えるでしょう。
ところで、驚くべきなのは「玉子焼き」の値段。今ではかなり安いイメージの玉子焼きのお寿司ですが、江戸時代ではなんと1貫およそ200円でした。
これには、当時の卵の値段が現代で言えば一個100円くらいと、今よりもかなり高かったことが関係しています。私たちが普段スーパーで購入する卵は10個入って約200円程度なので、5倍くらいの価格ですね。
江戸時代は、人気のネタも今とはだいぶ違っていました。
現代だとやはり、人気のネタと言えばマグロのトロがランキング上位に入るでしょう。実際、マグロは高級魚で、一本買うだけで数百万から時には数千万円まで動くとされています。
そのマグロのネタとしての魅力は、なんといっても「たっぷりのっている脂」です。
しかし、実は江戸時代は、そんなマグロは不人気な魚として有名だったのです。
これは、当時と今の日本人の味覚の違いが大きな理由です。現代の日本人は海外由来の料理もよく食べるので、味の濃さや脂っこい料理にも舌が慣れています。
しかし、江戸時代の人々はあっさり・さっぱりした食事を好んでいたので、油がたっぷりのったマグロは好かれなかったのです。
当時の人々が好きだったネタは、まず初期のお寿司では「コハダ」でした。その後、ネタの種類が増えるにつれ、エビや白魚なども増えていったそうです。
また、江戸っ子たちは、季節ごとに変わる「旬」の魚の寿司を好んで口にしていたとも言われています。
こんなところは、現代の回転寿司で季節ごとに行われる「○○フェア」で、季節のネタがアピールされるのとつながっていますね。
こんなふうに見ていくと、なにげなく食べているお寿司や、それを味わう私たちの味覚にさえも、ちゃんと歴史があることが分かります。
参考資料