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日本画でお花見!桜は一瞬だから名残惜しい、思わず見とれる桜の名画を紹介

日本画でお花見!桜は一瞬だから名残惜しい、思わず見とれる桜の名画を紹介

《小雨ふる吉野》菊池芳文

小雨ふる吉野
《小雨ふる吉野》菊池芳文 左隻 1914 (大正3)年 東京国立近代美術館蔵
小雨ふる吉野
《小雨ふる吉野》菊池芳文 右隻 1914 (大正3)年 東京国立近代美術館蔵

こちらも桜の名所・吉野を描いた作品ですが、屏風絵となっています。

菊池芳文(きくち ほうぶん)[1862-1918]は、花鳥画や桜の名手として知られています。

まずめに飛び込んでくるのは左隻いっぱいに広がる満開の桜、ゆっくりと遠くの桜に目線を移していくと、右隻の霞がかったような遠い桜と、春の小雨特有のしっとりした空気感を感じられます。

桜の名所で知られる吉野ですが、実はそれだけではありません。

「歌書よりも軍書に悲し吉野山」これは芭蕉の門弟・支考が詠んだ句です。

現代語に訳すと、「吉野の自然や桜の美しさを詠んだ歌もたくさんあるけれど、それよりも戦いで多くの人々がこの吉野山で悲しい思いをした」という意味になります。

華やかな春らしさだけでなく、あえて雨の日を描いたことで、美しさと同時に歴史的感傷にも目を向けていたのかもしれません。

こぼれ落ちそうな桜が綺麗《夜桜》千住博

夜桜 千住博
《夜桜》千住博 2001 (平成13)年 山種美術館蔵

宵闇に浮かび上がる、月光と満開の桜。背景とのコントラストがとても綺麗です。桜の木の下に立って見上げているような臨場感があります。

こちらは滝の絵で有名な、現在活躍中の日本画家・千住博さんの作品です。

見る時間帯によって雰囲気がガラッと変わるのも、桜の魅力ですよね。夜の桜は昼とは異なり、幻想的で吸い込まれそうな存在感を持っています。

また、こちらでは枝垂れ桜が描かれています。こちらに向かって垂れ下がる枝が、より一層艶やかな雰囲気を出しています。

ちなみに、山種美術館蔵のこの作品は、保護の観点から常設展示はしておらず、特別展開催時のみの展示となっています。ですが、この絵の作者・千住博さんの作品は軽井沢の美術館で見ることができます。建物自体に世界観があり、空間にいるだけで楽しめるので、機会があればぜひ足を運んでみてください。

軽井沢千住博美術館公式ホームページ

さいごに。

以上、今回は桜の名残を惜しんで、作品6点を紹介させていただきました。

お気に入りの作品には出会えましたでしょうか。

たまにはゆっくりと、絵画の桜を楽しむのも良いですね。

 

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