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日本画でお花見!桜は一瞬だから名残惜しい、思わず見とれる桜の名画を紹介

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悲恋の物語!《清姫》より「入相桜」小林古径

「入相桜」小林古径
《清姫》のうち「入相桜」小林古径 1930(昭和5)年 山種美術館蔵

作者は小林古径(こばやし こけい)[1883-1957]。

「吉野」を描いた奥村土牛の師匠でもありました。

世界遺産・熊野古道に平安時代から伝わる「安珍清姫伝説(あんちんきよひめでんせつ)」を題材に描いた日本画です。現代でも歌舞伎や能では「道成寺伝説」として演じられています。

バックストーリーを知ってから見ると、絵に対する印象も変わるかもしれません。

せっかくなので、安珍清姫伝説がどんな話なのかもざっと紹介しますね。

安珍清姫伝説は奥州のイケメン僧、安珍が熊野詣の途中、で牟婁郡真砂(むろごおりまなご)の宿に泊まったことから始まります。

そこの娘・清姫は安珍を見て一目惚れ、しつこく安珍に迫り、困り果てた安珍はその場しのぎで「熊野詣での帰りにまた立ち寄る」と告げたものの、参拝後は清姫に会わずに帰ってしまいました。

安珍の言葉は嘘だったと気付いた清姫は、怒りのあまり人から大蛇へと姿を変えて安珍を追いかけます。

安珍は道成寺の釣鐘の中に逃げ込みますが、清姫もすぐに追いつき、炎を吐いて安珍を焼き殺し、自身も日高川に入水して死んでしまいました。

安珍が非業の死を遂げた跡には、一本の桜が咲いていました。

おしまい。

えぇーそんな話だったの可哀想。

これを知ってしまうと、桜の花をピンクではなく白を使って描いているところ、葉が茂ってもなお散りそこねた花びらたち、背景がなく、桜の花がぽつんと1本だけある様子も、なんだか切なく思えてきます。

その一方で、丸く描かれた花の可愛らしさ、生命力を感じさせる根本の緑など、色々な見方のできる面白い作品だと思います!みなさんはどう感じましたか?

《山桜》横山大観

《山桜》横山大観 山種美術館蔵

近代日本画の巨匠・横山大観!

横山大観と言ったら富士の絵など、見ていて気持ちが引き締まる作品が多い印象です。

桜の絵では柔らかさ・儚さを感じられる絵も多い中、この絵からは生き生きした自由さが感じられます。

桜にも種類がありますが、大観が絵の題材に選んだのは山桜。一般的な桜は花が終わってから葉が出てきますが、山桜は花と葉が同じ時期にみられるのが特徴です。この絵にも桜の葉がたくさん描かれ、生命力を感じられます。

3ページ目 こぼれ落ちそうな桜が綺麗《夜桜》千住博

 

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