痛々しいけど愛おしい♡室町時代の中二病文学「閑吟集」より特選14首を紹介【上】:2ページ目
2、世の中は ちろりに過ぐる ちろりちろり
【意訳】世の中みんな、チョロチョロとせせこましいモンだぜ(≠俺は違う)。
「ちろり」とは、ネズミがチョロチョロするようなせせこましさを表しているのか、あるいは人生などチョロいものさ、と嘯いているのでしょうか。
この作者の、世の中をナメていると言うか、斜に構えた感じがいかにも「中二病」感たっぷりです。
3、夢幻や 南無三宝(なむさんぽう)
【意訳】この世の中が夢、幻のようなものと知ってしまった。仏の教えにすがることで、この虚無感から救われるだろうか。
【意訳その2】元から夢、幻みたいな三宝にすがろうなんて、お前はバカか?(笑)
南無(なむ)とは南無阿弥陀仏や南無妙法蓮華経のように「私をお救い下さい」の意味で、三宝(さんぽう)とは仏・法・僧(ぶっぽうそう)、すなわち仏とその教え(法)、そして救いへと導いて下さる僧侶を意味します。
多くの人々にとって救いの縁(よすが)となる三宝が夢幻とあっては、一体何に救いを求めればいいのか……そんな動転ぶりと、それを嘲り笑う「中二病」ぶりが併せ詠まれた一首です。