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着物の柄から絵師・鈴木春信の代表作「風俗四季哥仙」を読み解く!春信の魅力 その4【後編】

着物の柄から絵師・鈴木春信の代表作「風俗四季哥仙」を読み解く!春信の魅力 その4【後編】:3ページ目

さて、平安時代に盛んに行われていた“曲水の宴”は、鎌倉時代からいわゆる戦国時代にかけて、断絶しました。

ところが江戸時代半ばの享保17年(1732年)に、8代将軍徳川吉宗が故実を調べて曲水の宴を江戸城で再興したのです。

江戸の庶民は300年以上も前に貴族の間で行われた“曲水の宴”など知るよしもないはずです。

そこで、鈴木春信は「風俗四季哥仙 弥生」の題材として、弥生=三月の三日に行われていた、“曲水の宴”を選んだのではないでしょうか。昔、そのような“雅な宴”が初春に行われていたのだという事実は、春を迎える人々の高揚感を更に高めるものだったでしょう。

おわりに

さきほど“浮世絵は事実をそのまま写し取るものではない”と述べましたが、例えば「風俗四季哥仙 弥生」で描かれる曲水の宴では、家紋を染め抜いたと思われる幕が張られています。

しかし“曲水の宴”でそのようなしつらえをすることは無かったと思われます。またその一方の幕には「六角に三つ柏」という“桓武平氏”系の家紋が、もう一方には「竜胆(リンドウ)紋」という“村上源氏系”の家紋のようなものが染め抜かれています。

これは一体何を意味するのか。鈴木春信のたくらみがここにも隠されているのかもしれません。

次回は“風俗四季哥仙 (その5)”に続きます。

 

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