【光る君へ】目が見えない三条天皇、民が見えない道長…史実を基に11月10日放送を振り返り:3ページ目
三条天皇が飲んでいた丸薬は何?
三条天皇が宋から取り寄せたという丸薬。これは金液丹(きんえきたん)と呼ばれる万能薬で、当時は不老長寿の妙薬として珍重されました。
が、その成分は硫化水銀など(諸説あり)が含まれているとされ、多用すると失明や難聴などのリスクが高まるそうです。
……御病により、金液丹といふ薬をめしたりけるを人々「その薬くひたる人は、かく目をなむ疾(病)む」など、人は申しゝかど……
※『大鏡』六十七代 三條院天皇
果たして目が見えず、耳が聞こえなくなっていく三条天皇。ちなみに『大鏡』では怨霊の仕業であるとしています。
……まことには桓算供奉の御物怪(ものゝけ)にあらはれて申しけるは、物怪「御首にのりゐて、左右のはねをうちおほひ申したるに、うちはぶき動かすをりに、少し御覧ずるなり」……
※『大鏡』六十七代 三條院天皇
桓算供奉(かんざんぐぶ。供奉は僧職)の怨霊が三条天皇の頭に乗り、時折その翼を羽ばたきました。
だから目が見えたり見えなくなったり、耳が聞こえたり聞こえなくなったりしたそうです。
ちなみに日本で目薬が流通するようになったのは室町後期~戦国時代。清眼膏『霊薬 善光寺 雲切目薬』という軟膏を水に溶いて目に塗るタイプでした。
メガネも補聴器もない時代、視力や聴力の悪化は、生活に大きな支障をもたらしたことでしょう。
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