なぜか”中国の貨幣”が流通していた室町時代…幕府はなぜ自前の貨幣を造らなかったのか?:2ページ目
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信用なくして貨幣なし
貨幣の価値を裏付けるのは、政権に対する信用です。それがなければ、いくら貨幣をつくったところで誰も見向きはしません。
しかしそれでも経済が回ってくれなければ多くの人が困ります。それで、幕府はやむなく渡来銭や私鋳銭が流通することを黙認していたのです。
現代人が室町時代に関心を持たないのも無理はありません。室町幕府は当時から、信用も存在感も希薄だったのです。
この、信用も存在感もない幕府のあり方に、戦国時代に至る伏線があったと言えるでしょう。中央政府がこの体たらくだったので、各地の大名たちはそれぞれで力をつけていったのです。
また、現代日本の貨幣経済が、実は私たちがはっきりと自覚していない程のレベルで、実は「政府への信用」によって成り立っていることが分かりますね。
参考資料:歴史の謎研究会『舞台裏から歴史を読む雑学で日本全史』2022年、株式会社青春出版社
画像:Wikipedia
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