ラブシーンの意味、和歌と漢詩の違い、剣璽(けんじ)とは?大河ドラマ「光る君へ」3月10日放送振り返り:2ページ目
道長がまひろへ贈った三首の和歌
思ふには 忍ぶることぞ 負けにける 色には出でじと 思ひしものを
※『古今和歌集』巻第十一 恋歌一503番 読み人知らず
【意訳】あなたのことは忘れようと思っていた。忘れられると思っていたが、どうしても忘れられない。
死ぬる命 生きもやすると こころみに 玉の緒ばかり 逢はむと言はなむ
※『古今和歌集』巻第十二 恋歌二568番 藤原興風
【意訳】私の生命は今にも尽きてしまうだろう。しかしあなたが冗談でも「会いましょう」と言ってくれたら、私の魂はつながれるはずだ。
命やは なにぞは露の あだものを 逢ふにしかへば 惜しからなくに
※『古今和歌集』巻第十二 恋歌二615番 紀友則
【意訳】生命など露のごとく徒(あだ)なるものだ。あなたに二度と会えないならば、もはや惜しくもないのだが……。
劇中で道長がまひろに贈った三首の和歌。いずれも『古今和歌集』からとられたものです。
あなたのことが忘れられない。会いたい。会おうと言ってくれ。会えないなら、もう死んだって構うものか……。そんな思いがひたすらに連ねられていましたね。
ちなみに、これらの和歌を詠んだ藤原興風(おきかぜ)と紀友則(きの とものり)はいずれも「小倉百人一首」に登場します。
誰をかも 知る人にせむ
高砂の 松も昔の 友ならなくに※「小倉百人一首」藤原興風
久方の 光のどけき 春の日に
しづ心なく 花の散るらむ※「小倉百人一首」紀友則
劇中でハッキリと言及されないものの、これからもたくさんの歌人たちが散りばめられることでしょう。楽しみですね!