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アイツはズルい!と言うけど…その語源が蕎麦打ちに由来する説を紹介:2ページ目
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こうして通常よりも水を多く回して軟らかく練り上げた生地(蕎麦玉)を「ずる玉」と呼び、仕事を怠けることの喩えとなったのでした。
ただし、こうしてズルをした蕎麦は見る人が見れば一発で判るそうで、生地の練り込み不足が露骨に現れるといいます。
打った麺には艶がなく、茹でるとフワフワ水っぽく、そして当然の如く味も劣るという始末……その場しのぎでインチキをすると、せっかくの蕎麦が台無しに。
せっかく蕎麦を打つなら、丹精込めて美しく美味しい蕎麦を食べたい(食べてもらいたい)ものですね。
終わりに
ちなみに「ズルい」の語源には他にも諸説あります。
着物をきちんと着こなせず、裾や帯などをズルズルと引きずる擬音を表したと言われ、元々は締まりがない、だらしない様子を表す言葉だったとか。
それが後に狡猾さや計算高さを表すようになったのは、公私のけじめを忘れて公益よりも私欲を優先するだらしなさに転じたからではないでしょうか。
蕎麦を打つでも他の仕事でも、私欲の追求よりも公益に供する価値を提供し続けたいものですね。
※参考文献:
- 新島繁『蕎麦の事典』講談社学術文庫、2011年5月
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