ユーキャンフライ!?宇治川合戦で「空を飛んだ」坂東武者・大串次郎の先陣エピソード【鎌倉殿の13人】:2ページ目
溺れかけた重親を……
時は寿永3年(1184年)1月20日。都から平家一門を追い払ったものの、乱暴狼藉が過ぎた木曾義仲を討伐するべく源範頼(みなもとの のりより)と源義経(よしつね)が出陣。
京都の防衛線である宇治川を挟んで両軍が対峙、やがて源氏方の武者たちが一斉に渡河を始めました。
しかし、みんながみんな水練の達者ではなく、中には上手く泳げずに溺れてしまう者も現れます。
「ガボゴボ……助けてくれぇ!」
大串次郎もそんな一人だったらしく、死に物狂いで近くにいた畠山重忠(はたけやま しげただ)の馬にすがりつきました。
大人しくつかまっていれば沈みはしないものの、なにぶん慌てているものだから暴れてしまって大変です。
このままでは馬まで溺れてしまうではないか……そこで重忠は、大串次郎の襟首をつかむや力いっぱいにぶん投げました。
「せいっ!」「あ~れ~」
投げ飛ばされた大串次郎はそのまま宇治川の向こう岸まで着地。全身の痛みをこらえてヨロヨロ立ち上がると、
「武蔵国の住人、大串次郎重親。宇治川の先陣ぞや!」
……ただし徒立(かちだち。徒歩)の……実際の先陣は既に佐々木高綱が果たしていたため、敵味方共に大爆笑。とても美味しいポジションをゲットできたのでした。
浮世絵では今にも高綱すら抜き去らんばかりの勢いで飛ばされていますが、当人としてみればさぞや怖かったことでしょう。