今も語り継がれる”蛭子伝説”!日本神話に登場する不遇の神「ヒルコ」とは一体どんな神様なのか?:2ページ目
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解釈には諸説あるものの、その背景には「穢れ(けがれ)」の価値観が大きく影響しているとされています。穢れとは病気や死を意味する不浄なものとして、人々は忌み嫌っていました。そして、体が不自由なことも穢れの一種であり、ヒルコは不吉な子とされてしまい、海に流されることになったのです。
この穢れを払う行為が「禊(みそぎ、身を清める行為)」です。そして、穢れを忌み嫌う価値観は現代日本人にも受け継がれています。
現在でもよく見られる「神社の参拝前に手を洗って清める」、「葬儀の後に体に塩を振りかける」といった風習はその名残です。
七福神になったヒルコ
葦の船に乗せられ海に流されてしまったヒルコは、その後どうなったのか、神話では一切語られていません。しかし、兵庫県の西宮神社には、ある伝説が語り継がれています。
海に流されたヒルコは、現在の兵庫県西宮市の海岸に漂着し保護されました。そして土地の人々からは、外部からの来訪者を意味する「夷(えびす)」と呼ばれ、大事に育てられたと伝わっています。
ヒルコを漢字で書くと「蛭子」。「蛭子」は「えびす」とも読みます。「えびす」と言えば、現代人にも馴染みのある七福神の一柱「えびす様」。
つまり、海に流されたヒルコは後に「えびす様」として七福神の一柱に名を連ね、今なお漁業の神様として多くの人々から信仰を集めているのです。
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